「すごく美味しいぬか漬けに興味ない?」
友人の恵美さんから打診があった。
興味はある。あるどころか、私の冷蔵庫にはぬか床タッパーの定位置さえある。
ぬか漬けは、ビタミンCとβカロテンが豊富で、健康と美容に超お薦めな食品。
パリポリと美味しいあの食感は、古くから全日本人に愛されるご飯の友。
だから私もぬか漬けを作っていたのだが、生来の無精が禍して、いつもダメにしてしまう。
だけど夏が近づくと、やっぱりぬか漬けが食べたくて、毎年、新しいぬか床に手を出す。
現在のぬか床がほどよくダメになっていたので、そろそろ次のを・・・と思っていた矢先だった。
発酵調味料教室 at 木楽屋
発酵調味料教室を主宰している恵美さんは、これまでに味噌、味噌玉、塩麹、甘酒など、発酵に関するワークショップを開催している。
そして6月は、外部講師をお招きしての、生ぬか床づくり。
生って、どいうこと?
よく分からないながらも、「絶対美味しい!」という彼女の太鼓判に惹かれて、ワークショップに参加した。
場所は加賀市の木楽屋さん。(2021年の記事)↓
曇り空の中、北陸自動車道を快調に飛ばし、駐車場に滑り込む。
木楽屋さんに来るときは、いつも心が弾む。
だっていつもいいことしか起こらないから。
生ぬか床づくり
本日の講師は、白山市在住のハーブ研究家、りえ先生。
このお教室の嬉しい所は、最初から計量された材料がセットしてあるところ。
初心者でも安心して取り組める。

本日の材料。
生の米ぬか、塩、水、鷹の爪、干し椎茸、昆布。
普通、店頭で売っているぬかは、炒ってある。
火を通して虫が湧かないようにしているのだけれど、今回使うのは、精米した時に出たそのまんまのぬか。
だから”生”なのか。 ビールも生が美味しいもんね。

まず米ぬかに塩を加え、まんべんなく混ぜる。
ジップロックを締めて、ぶんぶん振り回すとよく混ざる。
リズミカルにやると、まるで熟練の粉混ぜ職人のよう😁
さらさらの生ぬかが、思いの外柔らかくて、うっとりする。

水を加える。
さらに混ぜる。
ピザ生地のようにこねる必要は無い。

容器に移す。
これは野田琺瑯の”ぬか漬け美人”。

昆布、鷹の爪、干し椎茸を加えて、味を締める。
あともうひとつ、特別な隠し味を加えたが、これは企業秘密💕

捨て漬け用の野菜くずを漬ける。
作りたてのぬか床は、まだ乳酸菌や酵母が育っておらず、すぐには使えない。
捨て漬けをして、熟成を促す。
捨て漬けは4~5日後に取りだし、もう一回くず野菜を漬けて4~5日置く。
10日目から、本格的に漬けられる。
それまでは毎日一回、かき混ぜること。
(それにしても、恵美さんが用意してくれたくず野菜が、立派すぎ😅)
「それでは最後に、一番大切なことをお伝えします」と、りえ先生。

一番大切なこととは、側面についたぬかを毎回、きれいに拭き取ること。
この一手間を省くと、カビの原因になる。
アルコールや水拭きではなく、キッチンペーパーで拭うだけでOK。

これはりえ先生のぬか床。
半年くらい経っていて、しっかり熟成が進んでいる。
同じ材料を使い、同じ手順で作っても、それぞれのぬか床は味が違ってくる。
ぬかを混ぜる手の常在菌が違うからなんだって。面白いね。
発酵食ランチ
恵美さんの講座が人気なのは、最後に心づくしのランチが供されるから。
食べる人の顔を思い浮かべながら、丁寧に準備されたお料理。
特別な食材や高価な食材を使っているわけではないけれど、ほっこり沁みてくる。
お腹だけではなく、心も満たす。

見るからに健康的!
左上から青菜のごま和え、人参と長芋のりんご酢和え、ぬか漬けサラダ、豚汁、16穀米。
ごま和えは、恵美さんがゴリゴリすった胡麻に、自家製の甘酒と醤油麹を加えたもの。
リンゴ酢は、りえ先生のお手製。
毎度、お馴染みの豚汁は、出汁を使わず、野菜と3種のきのこの旨味でいただく。

さて、このサラダだが、・・・なんと全てぬか漬け。
きゅうりは定番だけど、プチトマトやゆで卵やプロセスチーズや木綿豆腐も、全部、漬けてある。
卵とチーズと豆腐は、不織布のキッチンペーパーに包んで漬け込むのだが、ほんのり味が沁みて、本当に美味しい。
お酒のおつまみにもグッド!

そしてこの日は、特別にナナイロキッチンのデザート付き。
米粉研究家のくみちゃん先生が作ってくれたのは、砂糖も小麦粉も乳製品も使わない、身体に優しいスイーツ。
左からブリスボール、スパイスケーキ、かぼちゃの白玉。
ブリスボールは、別名、エナジーボールとも呼ばれる、オーストラリア発祥のおやつ。
疲れた時にかじると、元気百倍だって。
白玉の餡子にはデーツが入っている。
米粉のスパイスケーキは、しっとりと柔らかく、甘さ控えめなのにスパイスが効いていて、これ、焼けるようになりたいなぁ・・・と思った。
ミントと薔薇のお茶
りえ先生がフレッシュミントをたくさん持ってきてくださった。

新鮮なミント、すごくいい香りがする。
これに熱湯を注いでミントティーにする。

淡い黄緑色のお茶は、清涼感のかたまり。
食べ過ぎや胸焼け、逆に食欲不振にもいいそうだ。
そして2杯目は、薔薇とローズヒップのお茶。

薔薇の香りは、もれなく女子の目を💕にする。

たまたまお土産に持っていった、我が家の薔薇ともコラボして、なんとも女子力の高い場となった。
参加者の一人が、昭和のドラマでよく見るような、”嫁いだ時に持ってきたぬか床”に憧れると言う。
私はもう嫁ぐことはないと思うけれど、それくらい長い時間、しっかり愛情を込めてお世話した大切なぬか床・・・という意味では、確かに憧れる。
毎日、かき回して、大事に育てていこう。
