横浜、赤レンガ倉庫。
緊急事態宣言解除の翌日。
平日だけれど、たくさんの人がそぞろ歩いている。
長い自粛生活に耐えてきた。
季節は春。
もう外に出てもいいのかしら…。
大人も子どももよく頑張ってきたものね。
自由を制限されるのは、辛かったよね。
海からの風を受けて歩く人たちの足取りは、総じて軽やか。
犬を連れている人も多い。
シャネルのサングラスをかけたワンコもいた!
中学生の集団は、校外学習かな?
卒業式帰りの袴女子もいっぱい。
そんな空気感の中で、赤レンガ倉庫を見上げる。
6年前の2月も、私はここにいた。
一人で時間をつぶしていた。
まだ10代だった娘の受験についてきたのだ。
朝8時半から4時半までの長い試験。
ひとつ終われば、またすぐ、新幹線に乗って次の受験地へ向かう。
金沢を出発して、10日以上続く、長い受験行脚だった。
強行軍のうえに、受験のストレスで娘もそうとう参っていた。
試験中に貧血で倒れたことも…。
行程の途中で、前の試験の結果が分かる。
もし一次試験に合格していれば、すぐ宿泊や移動の予定を変更して、二次試験に臨まなければならない。
受験日が重なってしまい、諦めた学校もあった。
そんな中で、訪れた赤レンガ倉庫だった。
試験中は私はすることがなかったので、ふらりと一人で。
よこはま物語が好きだったこともあり、いつか来たいとは思っていた。
だけど、目的が受験なので、観光してわ~~~い!という気分にはなれず、なんとなくその場にいただけ。
そして6年後。
春の風の中、同じ場所に立つ。
今日は娘の卒業式。
自信なげだった19歳が、今日、6年間の学びを終えて、あの日、門戸を開いてくれた大学を卒業する。
人一倍、お家が好きで、甘えん坊だった彼女。
初めての大学、初めての一人暮らし、初めての都会は、不安も大きかっただろう。
だが彼女は新しい土地で、生活を整え、人間関係を築き、学びを深め、バイトもして、自分の居場所を見つけた。
帰省するたびに、少しずつ大人びていく彼女を見ているのは、親として誇らしかった。
25年前、片腕で抱っこできるほど小さかった赤ちゃんは、いつの間にかしなやかでたくましい女性になった。
今朝は早起きして、袴のお仕度をしてから、卒業式に送り出した。
covid19の影響で、昨年の卒業式は中止になった。
今年はどうかな…と気をもんでいたが、2月になって開催が知らされた。
だが保護者は式場に入れない。謝恩会もキャンセル。
でも式ができるだけでも、御の字だね。
卒業式のネット配信をホテルで見た。
たくさんの卒業生。
そのひとりひとりが、ここに来るまでに重ねた研鑽に思いを馳せる。
違う空間にいたけれど、おめでとうの気持ちは変わらない。
みんな、みんな、おめでとう。
娘は同級生とランチに行ったので、私はふらりと赤レンガ倉庫へ。
6年前は、今日のこの晴れやかな日を思うことはできなかったな。
目の前のことでいっぱいいっぱいだったから。
春がきたなぁ…。
しみじみと嬉しい。
赤レンガ倉庫を眺めながら、カマンベールと生ハムのガレット。(o^^o)