心理学の師匠・長谷川泰三氏が教えてくれたこと。
「人は自分が自分に禁止していることを、いけしゃあしゃあとやってのける相手に腹が立つ」
これは鉄則だと、何度も言われた。
私たちにはそれぞれ、たくさんの禁止事項がある。
時間に遅れてはいけない。
約束は守らなければいけない。
わがままを言ってはいけない。
感情を爆発させてはいけない。
人に迷惑をかけてはいけない。
男は泣いてはいけない。
女は愛想良くしなければいけない。
自分のことよりも、家族を大切にしなければいけない。
・・・まあ、どれもそれなりに社会の認知を得ている項目だけれど、禁止の強弱は人によって違う。
絶対ダメだと思っている人もいれば、そこまで厳しくない人もいる。
だけど誰かが犯した禁止事項を見過ごせないのは、どちらも同じ。
時間に遅れることは、相手の時間を奪うことになる。
だから絶対に許されない・・・と固く信じている人は、「ごめんね~~、出がけに電話がきちゃって」とヘラヘラ謝る相手が許せない。
下に弟か妹が生まれ、それまで独占していた親の愛情が半分になった(と感じた)。
私はお姉ちゃん・お兄ちゃんだから、我慢しなくてはと、幼心に誓った人は、大人になっても我慢しがち。
自分の要求をストレートに出してくる人に、イライラする。
人に迷惑をかけてはいけないと言われ続けた子どもは、なんでも1人でしなければ・・・と思う。
その結果、窮地に陥っても「助けて」の一言が出ない。
困った時はお互い様・・・が自分だけには当てはまらず、信頼関係を築くのが苦手で、そのことでさらに傷つく。
だから自分ができないことをサラッとこなし、超えられないハードルをいとも簡単に飛び越えて行く人が羨ましい。
いや、羨ましいを通り越して、妬ましくすらある。
イライラの発生源は、この妬ましい気持ち。
だけど、その禁止事項を貴方に課したのは、いったい誰?
甘えてはいけないと決めたのは、誰?
弱音を吐いてはいけないと決めたのは、誰?
頼まれたら断ってはいけないと決めたのは、誰?
できない自分もOKと認めてはいけないと決めたのは、誰?
好きなものは好き、イヤなものはイヤと言ってはいけないと決めたのは、誰?
そうだよ、羨ましいと思う相手と同じこと、やってもいいんだよ。
禁止しているのは、他でもない自分自身なのだから。
自分でかけた呪いを解けるのは、自分だけ!