【ニュー・アース】エックハルト・トール著 第五章「ペインボディ――私たちがひきずる過去の古い痛み

人が繰り返し苦しみを生み出してしまうのは何故か。

そこにはペインボディの存在がある。

ペインボディとは、過去の怒り・悲しみ・恐れ・恨みなど、十分に意識されなかった感情が
エネルギーとして体内に蓄積されたもののこと。

普段は眠っているが、似た状況・言葉・人間関係をきっかけに、突然目を覚ます。

エゴは思考と感情に同一化する

人は思考を自分だと勘違いし、その間違った自己意識がエゴを生む。

ところが常に思考と同一化していても、ほんの一瞬エゴから解放されることがある。

そんな時、人は安らぎや喜び、生命の躍動感を感じる。想像力や愛や共感力が生まれるのも、こういう瞬間だ。

またエゴは感情とも同一化する。

ネガティブな感情は身体に有害で、バランスの取れた安定した機能を阻害する。

だがエゴはネガティブが大好きで、それを糧にしてどんどん肥え太る。

本当はうんざりしながらも、ネガティブ思考を手放せないのは、エゴのエネルギー源になるからである。

不幸であればあるほど、エゴは元気になる。

「いまに在る」という状態の対極だ。

過去にこだわる

禅僧の逸話が紹介されている。

2人の禅僧が泥道を渡れずに困っている女性に出会い、1人が彼女を抱き上げて運んであげた。

数時間後、もう1人が「僧は女性にふれるべきではない」と言う。

女性を助けた僧は、「そんな何時間も前のことに、君はまだこだわっているのか」と答えた。

このように、私たちは過去にいつまでもこだわり続ける。

過去をさらっと水に流すことができず、ずっと溜め込む。

過去という荷物のなんと重いことか。

人間には古い記憶を長々と引きずる癖がある。

手放してしまえば楽なのに、何度も何度も薪をくべ、油を注いで、怒りや憎しみや恨みの炎を燃やし続ける。この古い感情的な苦痛の集積をペインボディと呼ぶ。

ほとんど全ての人の中に存在し、原因は過去にありながら、今この時も生き生きと息づいている。

ペインボディの増幅を止めるには、過去の傷や痛みを反芻するのをやめ、自分の関心を「今」に引き戻すことを学べばいい。

そうすれば思考や感情ではなく、今に在ることが貴方のアイデンティティになる。

ペインボディはネガティブが大好き💕

感情的に辛い体験は、ペインボディの糧になる。

ネガティブな思考や人間関係の波乱は大好物だ。

ペインボディは基本的に不幸依存症で、一度不幸に支配されると、不幸を終わらせたくないと思い、周りの人も巻き込んで惨めな気持ちにさせ、彼らのネガティブな感情反応を取り込んで、さらに大きくなっていく。

ポジティブな思考とネガティブな思考は、周波数が全く異なる。

ペインボディが糧にするのは、ネガティブな思考。その周波数が自分のエネルギーに合致するからだ。

通常は思考が感情を生み出すが、ペインボディがからむと、それが逆転する。

過去の辛い体験を蓄積したペインボディから発した感情が、思考を乗っ取る。

そしてネガティブにまみれた思考は、その歪んだ考えをなにもかも信じて、自分の物語(妄想)を創り出す。

ペインボディにとっては痛みが喜びなので、それと同一化している人は、ネガティブで辛い思考を止めたいと思わない。

眠ることのない重いペインボディを持っている人もいる。

表面上は礼儀正しく、にこやかで、普通に社会生活を送っているように見えるが、その内側では常に不幸がたぎっていて、不満の種を掘り起こし、攻撃対象を探し求めている。

ペインボディは些細なことにも反応したくてたまらない。

常に飢えていて、飽き足りることがないので、諍いやトラブルと無縁ではいられない。

集団の中でのペインボディ

ペインボディは、個人の中だけでなく、集団の中にも存在する。

国家や民族が共有する恨みや憎しみの感情は、集団のペインボディを強化する。

家系に受け継がれるペインボディもあれば、時代を超えて脈々と継承されるペインボディもある。

人類は長らく男性性優位の社会を構築してきた。

その中で女性の権利や人権は下に見られ、軽く扱われた。

正確な記録はないが、ローマカトリック教会の異端審問によって、300年間に300万~500万人の女性が拷問の末、処刑された。

それも火あぶりという、極めて残酷な方法で。

キリスト教以前の古代文明では、女性が敬われ、女性性は尊重されていた。

ではなぜ突然、女性性の抑圧や迫害が始まったのか。

原因は、男性の中で発展したエゴだ。

エゴは男性を優位に立たせるために、女性を無力かしなければならなかったのだ。

重いペインボディ

ペインボディが特に重い国や地域はある。

長い歴史の中で、集団的暴力を経験し続けると、国や地域としてのペインボディが強固になる。

たとえば中東で紛争が絶えないのは、集団的ペインボディがあまりにも強くて大きいので、暴力と報復の悪循環から抜け出せない。報復すればするほど、ペインボディは肥え太っていくというのに。

暴力や抑圧や残虐な行動の結果は、被害者と加害者の両方に及ぶ。

他人にすることは、自分自身にすることなのだ。

Chikakoの感想

ペインボディとは、顕在意識と潜在意識の間にあり、過去の痛みをたっぷり溜め込んでいるので、触れるとものすごく痛い。

私は感情の蓋だと思っている。

その蓋の下には、見たくない、思い出したくない、忘れてしまいたい諸々が詰まっている。

普段は重い蓋の下に眠っているが、なんらかのきっかけで目覚めて、瞬間的な反応を起こす。

それは自分を守るためでもあると思う。

もうあんな痛い想いは辛い経験は二度としたくないから。

だが眠らせているだけで、その痛みは傷はずっとそこにあるので、根本的解決を願うのであれば、蓋をめくって、そこに在るモノドモとしっかり向き合う必要がある。

ネガティブを喰らって肥え太るペインボディ。

イヤだイヤだと言いながら、被害者の立場から離れようとしなかったり、自己憐憫にふけったり、なにもかもを人のせいにしているのは、ペインボディにとって、ネガティブは美味しいからだ。

このからくりに気づくと、被害者意識にしがみついていることが、馬鹿らしくなってくる。

ペインボディは実は過去ではなく、今も生き続ける感情エネルギー。

敵視するのではなく、気づいてあげること。

気づくことでペインボディは力を失い、変容していく。

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Chikakoプロフィール

Chikako

金沢市在住。バラとコーヒーとコーギーが好き。
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