映画【ゴジラ-1.0】ただの怪獣映画じゃなかった!

海外で【ゴジラ-1.0】が高評価を受けているらしい・・・と聞いたのは、1ヵ月以上前のこと。

なんでもVFXが、素晴らしいとのこと。

VFXとCGの違いもよく分からない私だが、日本の作品が評価されるのは素直に嬉しい。

・・・で調べてみた。

VFXもCGも、コンピューターを使って撮影していない映像を創り出す。

だが、CGがパソコン上で作ったデータを指すのに対し、VFXは撮影した映像にパソコンで演出や効果を加えていく。

ああ、あれか?

緑色一色の幕の上で俳優が演技をし、その映像に背景やその他を後付けするやつ。

【マトリックス】や【アバター】のメイキングで見たことがある。

【ゴジラ-0.1】で、そのVFXを手がけたのが、若干25歳のエフェクト・アーティストだという。

アラ還の山崎貴監督とのタッグが話題になっているそうだ。

話題性はある。・・・でもいうて、怪獣映画でしょ?

(C)2023 TOHO CO.,LTD.

【ゴジラ-0.1】のあらすじ

終戦直後の荒廃した東京に、特攻の生き残り、敷島浩一(神木隆之介)が帰ってくる。

だがすでに両親はなく、実家は倒壊寸前。

そこに赤ん坊を抱えた大石典子(浜辺美波)が転がり込んでくる。

なし崩しに始まる同居生活。

浩一は戦時中に海にばらまかれた機雷を除去する、高収入だが危険な仕事に就き、典子と赤ん坊(あきこ)を養う。

一緒に船に乗る船長の秋津(佐々木蔵之介)、エンジニアの野田(吉岡秀隆)、見習いの水島(山田裕貴)との絆が深まる。

2年が経ち、浩一はバイクを買い、ボロボロだった実家を建て直す。

すべては上手くいくように思われた、その時・・・。

海から謎の巨大生物が上陸し、銀座で暴れ回る。

浩一は典子を探しに銀座へ行くが、そこでゴジラに遭遇。

典子は浩一を庇って、爆風に吹き飛ばされる。

残されたあきこを抱き、悔恨にくれる浩一。

いったん海に戻ったゴジラは、銀座を縄張りと認識したため、また戻ってくると予想される。

敗戦で武装解除された日本に武器はない。

日本政府は動けないし、進駐軍はソ連との関係を気にして、手を出さない。

日本軍の生き残りと民間人に託される、ゴジラ討伐。

今度こそ、大切な人を守りたい。浩一が手を挙げた作戦とは・・・。

【ゴジラ-0.1】のみどころ

やはりなんといっても、ゴジラの迫力。

怒ると(攻撃されると?)、背中の突起がザクザク立ち上がり、青く光り出す。

焔は赤より青のほうが熱いという。

ゴジラが激怒していることが、視覚からどーーんと伝わってくる。

カッと見開いた目で木造船を見据え、派手なしぶきを上げながら泳いでくるゴジラは、超怖い。

ちなみに水しぶきのひとつひとつが、全部VFXだという。

気が遠くなるほどの緻密な計算とスキルが、創り上げた映像だ。

(C)2023 TOHO CO.,LTD.

そして人間ドラマ。

ゴジラを倒してばんざ~~いで終わりではなく、歯が立たない相手に、それでも向かっていこうとする人間たちの想いが、弱さも強さも丁寧に描かれている。

逃避、罪悪感、贖罪、希望、信頼、連帯感、使命感、・・・そして愛する人を守りたいという熱い気持ち。

いうて怪獣映画やろ・・・なんて言って、すみませんでした。

キャスティング

好きな俳優さんたちが出ているので、贔屓目になるのは仕方がないとしても、キャスティングがとてもよかったと思う。

神木隆之介は、シリアスもコメディも両方こなす器用な俳優で、AUのCMなんかも好きだった。

実は浩一は特攻の生き残りは生き残りでも、機体の不具合をでっちあげて、途中離脱した過去がある。

また怖じ気づいて逃げたことで、仲間を何人も死なせている。

その罪の意識にずっと苛まれ、典子との関係にも踏み込めず、結局死別してしまうのだが、あきこを守りたいという気持ちが、彼を変えていく。

おどおどして逃げ惑っていた浩一と、引き締まった表情と強い目力に決意をみなぎらせてゴジラに立ち向かう浩一を、神木くんが好演している。

浜辺美波は【君の膵臓を食べたい】で主演を演じた時は、特になんとも思わなかったけれど、いつの間にか大きくなった感じがする。

女優としての光る存在感とでも言えばいいのか・・・。

気がつけば、なぜかスクリーン上の彼女の姿を追っている自分がいた。

彼女とは実は同郷。これからの活躍を応援したい。

(C)2023 TOHO CO.,LTD.

神木くんも浜辺さんも、日本アカデミー賞2024の主演男優賞と主演女優賞にノミネートされた。

対抗馬が役所広司と安藤サクラじゃ、相手がベテランすぎて分が悪いよね。

吉岡秀隆は、一見頼りなさげだけれど、実力はある役柄が実に上手い。

Dr.コトー診療所の五島先生とか。

本作の野田は、人当たりのよい学者のような風貌だが、ゴジラの討伐方法を考案する唯一の技術者だ。

ゴジラの生態や能力がまるで分からない中で、活路を開く。

凄い人なのに、周りに凄い人だと思わせないのが、凄い。

安藤サクラは、この作品でアカデミー助演女優賞を受賞。

無言で浩一の胸を叩く演技に、私はさすが!と思ったのだが、夫は出番が少ないのに、受賞したことが納得いかないようだった。

アカデミー賞は、登場時間の長短で審査してないと思うよ。

Chikakoの感想

面白かった!

制作費が少なかったとのことだが、映画の面白さはお金だけでは測れない。

【ゴジラ-0.1】は、エンターテイメントとして、ひじょうに秀逸な作品だと思う。

浩一の意気地なさにイライラしたり、ゴジラの恐ろしさに震え上がったり、荒廃の中でも生き抜こうとする日本人の底力に胸が熱くなったり、作戦中は手に汗握ってドキドキしたり、浩一を恨んでいる橘の「生きろ」に涙腺が崩壊しそうになったり、浩一が操縦する飛行機のシーンがめちゃめちゃかっこよかったり、盛りだくさんでポップコーンを食べる暇もなかった。

最後のサプライズで、ほっこりと幸せな気持ちになる。

なんとも贅沢で至福な125分だった。

ゴジラはこれで30作品目、本作はゴジラ生誕70周年記念作品。

日本アカデミー賞2024では最優秀作品賞、第96回アカデミー賞では、アジア映画では初の視覚効果賞を受賞。

おめでとうございます。

 

 

この記事を書いた人

Chikako

金沢市在住。バラとコーヒーとコーギーが好き。
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