先日、1本の電話がありました。
仕事でお付き合いのある会社の担当者さん。
今月いっぱいで辞職するので、挨拶に来たいとのこと。
この方とは4年くらいのお付き合い。
誠実に業務をこなしてくれました。
電話を受けた夫は、「そうか、残念だな。貴女の仕事ぶりは、本当に素晴らしかった。でも貴女ならどこに行っても通用するから、次の職場でも、頑張ってください。今まで本当にありがとう。」と伝えます。
翌日。
今度は社長から電話が!
開口一番「ありがとうございます!」
話を聞いてみれば、夫と話をした担当者さんが、やっぱりもう少し頑張ってみます…と翻意したとのこと。
担当者さんは、自宅に帰って家族に、お客さんにこんな風に言われた…と話したそうです。
家族は、「そんなにお客さんに認めてもらっているのなら、もう少し頑張ってみたら?家のことは協力するから」と。
今は空前の人手不足で、募集をしてもなかなか応募がありません。
採用したとしても、すぐに戦力になるわけではなく、仕事ができるようになるまで育てるのに、時間がかかります。
得難い人材が残ることになって、社長さんは大喜びです。
…夫にしてみれば、別におべんちゃらを言ったわけではなく、思っていることをただ正直に伝えただけ。
それがこんな変化のきっかけとなって、ただただ驚いていました。
…でも嬉しいね?
…うん、確かに。
だけど、…会社の人なり、取引先の人なり、彼女がとても優秀であること、いい仕事をしていることを、もっと前に伝えることはできなかったのかな…。
辞意を固めるに至るまでに。
おそらく彼女は、自分の仕事が認められている…と、あまり感じていなかったと思います。
だからここに居ても、役に立ってないな、大切に思われてないな…と勘違いしちゃったのではないかと。
人は誰かの役に立ちたい存在です。
自分が役立たずだと思えば、全力でその場から逃げ出し、役に立つと思えれば、お金を払ってでもそこに出向きます。
誰かに必要とされている、誰かに感謝されている、誰かを笑顔にできている…、きっと彼女はそう感じられなかったのでしょう。
社長も夫も、こんなに彼女を認めていたというのに!
誰も言葉にして、そのことを伝えてきませんでした。
言わなくても分かるだろう…って?
では貴方は、自分がとても大切に思われていると、分かっていますか。
認められていると感じていますか、言葉がなくても。
翻って、私は職場のスタッフに、きちんと言葉で伝えてきたかな…?
たとえば、〇〇さんはとても電話応対が上手だとか、☆☆さんはモチベーションがすごく高いとか、▽▽さんは3手先まで読んで動いているとか、…一緒に働いて気が付いたことは多々あるのに。
その仕事ぶりを高く評価していることは、やっぱり言葉にしないと、相手に伝わりませんよね。
私たちは、きっとみんな、ちょっと言葉が足りません。
素晴らしいなと思うのなら、感謝しているのなら、大切だと思っているのなら、照れていないで、伝えたほうがいいです、その気持ち。
たった一言が、相手にとっての希望になることもあるのだから。