フロムの街にいる時、朝から心配していたお天気が少しずつ崩れだして、乗船する頃には雨が降り出した。
あ~~~~、一番晴れて欲しい場面なんだけれど。
希代の晴れ女、どこ行ったーーー?
エクスプレスボートに乗船

船の乗り場は3番。
出航の30分くらい前に行ったら、すでに人がいっぱい並んでいた。

フェリーは指定席ではないので、早く乗船しないとテーブル席や窓際席が取れない。
ことごとく遅れをとる私たち。
結局、2組に分かれて、船の真ん中あたりの並び席しかゲットできなかった。
ベルゲンまでは5時間。長旅なので、窓際のテーブル席とかがよかったのになぁ。
出航間際になって、ひとつ空いていた私の隣に、小山のような大男がドサンと座った。
なんだか逃げ道をふさがれたように感じるのは、なぜだろう😅
この人も連れと一緒に座れず、仕方なく私の隣に来たようだ。
とりあえず挨拶してみたら、けっこう気さくで感じのいい大男だった。
奥さんとその妹の3人でアメリカから来ているとのこと。
雨で残念だね~~と肩をすくめるが、ガタイが大きいのでひとつひとつの動作が窮屈そうだ。
余談だが、彼、ジェフとは、翌朝のホテルの朝食会場で再会する。
同宿だったんだ。これまた感じのいい奥さんと妹さんにも紹介してもらったよ。
ソグネフィヨルド
フィヨルドという言葉を知ったのは、中学生の時。地理の授業でだった。
100万年前、氷河期の北欧は厚さ1000~3000メートルの氷河に覆われていた。
その氷河が約1万年前に溶け出して、谷底をV字やU字型に削りながら海へと後退。
そこに海水が流れ込んで、フィヨルドが形成された。
名称は知っていたし、期末テストの答案用紙にも記入したけれど、一生見ることはないと思っていたフィヨルド。
今から、フェリーで下っていく。
人生とは げに不思議なりけり。
フロムからベルゲンへのコースは、入り江の全長205キロ、最深部の水深1308メートルのソグネフィヨルドの一部。
ユネスコの世界自然遺産に認定されたネーロフィヨルドは、ソグネフィヨルドの支流だ。

出航!

後方デッキには、たくさんの人。

波を蹴立てて走る高速ボート。ノルウェーの旗がたなびく。

雨の中、フィヨルドに向かって少年たちが、なにか叫んでいた。

岸にはおとぎ話にでてくるような可愛い村。

途中、いくつかの村に立ち寄る。
それぞれで乗客の乗下船がある。観光用としてだけではなく、生活の足にもなっているようだ。
船内では思い思いに過ごした。
売店にカフェラテを買いに行ったり、デッキに出たり、お昼ねしたり、お喋りしたり。
雨が降っているので、長時間デッキにはいられない…はずだが、いつまで経っても帰ってこない人がいて、ちょっと心配になり様子を見に行った。
雨風がびゅんびゅん吹き付ける前方デッキ、コートのフードをまぶかに被り微動だにせず、進行方向をじっと見つめている。
…どうも腹の中から湧き上がってくる、言葉にしづらい情熱のようなものを感じているようだった、長渕を聴きながら。
なんか分かるだけに、邪魔をしないように、そっと立ち去った。

滝があると、ギリギリまで近寄ってくれる。

晴れていたら、空も水面もどんなに碧かったことだろう。

5時間の船旅を終え、ベルゲンに接岸。窓外にはカラフルな倉庫群。
こんなに明るいのに、もう20時過ぎ。
私は疲れてしまったのでホテルに直帰したが、みんなは夜の街に繰り出した。(元気だなぁ)

たまたま目についたから入ったというブリッゲロフテ・ステューエナは創業115年の老舗。
シーフードとスカンジナビア料理のお店で、当たりだった!…と後から聞いた。

11過ぎに帰る頃には、さすがに日も暮れたとのこと。
ノルウェーに来て初めて見る、暗い空。

→北欧の旅2025⑧につづく