楽しかった旅も、最後の夜となった。
一度くらいは、ホテルのレストランでディナーをしよう。
スカンディックグランドセントラルホテルのメインダイニング、ブラッサリーグランド。
朝食会場と同じだが、夜はまた雰囲気が異なる。
ホテルディナー
ホテルディナーといっても、あまり畏まった感じはない。
旅行者がふらっと気兼ねなく入れる雰囲気で、ドレスアップせずとも、スニーカーでも大丈夫な感じだ。
元々「ブラッサリー」とは、ビールなどのお酒が楽しめるカジュアルな居酒屋。
気軽にワインと食事が楽しめる「ビストロ」より、さらに大衆的なんだとか。
本場フランスでも「ブラッサリー」と「ビストロ」の境界線は曖昧らしいので、深く追求するのはやめておこう。
ブラッサリーグランドにはいくつか部屋があって、バーカウンターやソファ席やテーブル席やテラス席から選べる。
テラス席からお庭を眺めながらも捨てがたいが、夕刻になり少し冷えてきたので、室内の丸テーブルに着席。
まずはスパークリングワインで乾杯🍷

窓外は朝みたいだけれど、もう19時過ぎ。北欧の夏はいつまでも明るい。
ノルウェー、フィンランドと異国の街を一緒に旅した仲間。
小さな”分からない”や”困った”はいくつかあったけれど、大きなトラブルもなく、楽しく過ごせた。
全員がここで、笑顔で乾杯できて、よかった。
アラカルトメニューもあったが、面倒くさいので5品目のコースを注文。
なにが出てくるか、誰も確かめようとしない😅
悪いことなんか起らない・・・と端から人生を信頼している人たち。
適当に選んだメニューでも、最高で至福に決まっている。
いつも先回りしてリスク回避を常とする私は、この人たちと過ごすだけで学ぶことも多かった。
私が今、ヘルシンキ駅の隣のホテルで、このメンバーとテーブルについていることは、もう奇跡に近いんだな。
最初の料理が来た。
スターターは、チーズの乗ったサラダだった。
チーズといっても・・・。

丸ごと? わぁ、豪快😆
ボリュームがあって、私はこのサラダだけで十分なくらい。
でもメインは、もっとすごかった。

はい、ど~~~~ん。
ビーフはビーフでも、なにやらとても希少な部位らしい。
1切れが15センチくらいあって、それがドンドンドンと3切れも。
もはや私にとっては3食分だ。
さて料理に刺さっているノルウェーの旗。
これはレストランが用意してくれた物ではない。
昼間、街歩きの途中でyasuyoちゃんが手に入れ、今夜、栄えあるチャンピオンに贈られることになった。
なんのチャンピオンかって?
実は彼女は「推拿(すいな)」を学んでいる。
推拿とは、中国に古くから伝わる手技療法で、筋肉をやわらげ、経絡(ツボの道)を整え、血流と“気”の流れを調えることで、心とからだがふっと緩むケアのこと。
その彼女が全員の肩に触れ、一番凝っている人をチャンピオンに認定する。そして選ばれたのが私だった。

責任感の強い人や、実際に多くの責任を負っている人は、肩凝りになりやすいそうだ。
肩凝りでは誰にも負けない自信はあるが、そんなに責任感、強いかな、私? きっといつも肩に力が入っているんだね。
こんな所からも話題はどんどん広がっていく。
旅、人生、在り方、命の輝かせ方、感情、コミュニケーション、出逢い、・・・ああ、なんて深くて、心地良い夜だろう。ずっと続けばいいのに・・・。

最後のデザートが終わっても、去りがたし。
ヘルシンキ中央図書館オーディ
明けて8月10日、ヘルシンキの空は抜けるような青。
前半のノルウェーは雨ばかりだったが、フィンランドに来てから傘の出番がない。
外海と内海の違いなんだろうか。

ホテルの中庭を眺めなら朝食を済ませ、早々に出かける。
それなりに疲労は溜まっているが、最後の最後まで楽しみきるぞ!・・・という意欲が漲る皆の顔ったら。😅
まずは徒歩で、白い図書館を目指す。

あれ?白くない。
ガイドブックや動画の予習で、ヘルシンキ中央図書館オーディは、なんとなく白いイメージがあった。
すでに人が並んでいる。
開館と同時に、駆け込んでいく人々。
なにをそんなに急いでいるのか。その理由は、後ほど明らかになる。

オーディは3階建て。

正面玄関を入ると、ピンクのシールを貼った本がずらっと並んでいた。

ペーパーバックの棚だった。貸出期間は28日間。延長はなし。
1階部分は図書館というより、コミュニティスペースの雰囲気で、カフェがあったり、チェスコーナーがあったりする。

大きなガラス窓から広場を眺めながら、のんびりチェス。
テーブルは10台くらいあった。フィンランドではチェスが人気なようだ。

お洒落ならせん階段を上って2階へ行ってみた。
2階はワークショップスペースとでも言えばいいのだろうか。
たくさんの個室や道具があって、思い思いの製作や活動にいそしめる。

ずらっとミシンが並んでいる。

楽器も貸し出してくれる。

ここは何をする部屋だろう? 工作? 3Dプリンターもあったよ。

流行のスタンディングデスクには、もれなくパソコン完備。
パソコンがずらっと並んだテーブルもあれば、個室もある。
開館と同時に駆け込んでいった人たちは、こういう個室をゲットしたかったのだと思われる。
ちょうど夏休みでもあったので、宿題をする子どもたちもいた。
図書館は本を読む所・・・だけではないのだった。
でも、やはり図書館のメインは本。本のコーナーは3階にあった。

第一印象は空間の豊かさ。
本の棚が私の身長ほどしかない。
踏み台に乗る必要は無く、全ての本に手が届く。
冬が長い北欧の人々にとって、本と親しむ時間はとても大切なのだろう。
だから図書館もすごく居心地の良い場所に整えられている。
そして白のイメージは、3階のことだったと知る。

球形の椅子。うたた寝しちゃいそうだ。
窓でぐるりと囲まれた3階の大フロアは、とても明るい。

思索するにもいい場所だ。

トーベ・ヤンソンのコーナーがあった。さすがはムーミンの国。

日本語の本もあったよ。

絵本も充実。

子ども向けの展示。

不思議の国のアリス。


ちょっと目を引く看板があった。

館内は特に撮影禁止ではないが、子どもの写真はNGということらしい。
テラスにも出られる。風が気持ちいい。
デッキチェアがあり、好きな場所で好きなように過ごしていい図書館だということが分かる。

建物を広場側から見てみると・・・。

すごい流線型! しかも木製? 大屋根リングもびっくり😲

広場では、Helsinkiの看板の前で、観光客がお決まりの記念撮影をしている。
この広場も含めての図書館なんだろう。市民の憩いの場であり、集う場でもあり、思い思いに過ごすことができる、なんとも素敵な場所だ。
私の地元金沢にも、自慢したくなる図書館があるよ。

石川県立図書館、通称ビブリオバウム。お近くにいらした際は、是非!💕
→北欧の旅2025⑯につづく
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