若い頃から、リップクリームというものを、あまり使ったことがない。
肌荒れはしても、唇はけっこう丈夫で、カサカサにならないから。
ところが先日、よりにもよって県外にいる時、唇にわずかな違和感を覚えた。
ささくれ…と言うのか、少し皮がめくれているようだ。
やがてその小さなほころびは、どんどん広がって、半日ほどで、唇全体がささくれだらけになった。
ちょっとしみる…。
これくらいのことで受診はしないが、気になって仕方がない。
昔の人は、荒れた唇にハチミツを塗ったそうだが、そんな物を塗ったら、美味しすぎて、すぐ舐め落としてしまう。
幸いホテルの横は、夜遅くまで開いているドラッグストア。
実に10年ぶりくらいにリップクリームを買うことにした。
お洒落用ではなく、薬用がいいし、即効性も欲しい。
壁一面に吊り下げられたリップクリームは、30種類はあるだろうか。
どれを選べばいいのか、分からない。
…そんな時、見慣れたマークが目に飛び込んでくる。
スティックタイプではなく、指で塗るタイプのほうが、なんだか効きそう。
無香料とハニーの香りが選べる。
使ってみると、ねっとりと粘性があり、手触りはワセリンのようで、荒れた唇をしっかりカバー。
ほんのりハニーの香りに癒される。
ささくれがひどかったので、一晩で全快…というわけにはいかなかったが、翌朝、コーヒーがしみなくなった。
2日目には、口紅がぬれるくらいに。
それ以降、夜寝る時に、乾燥対策として使っているが、なかなかいい感じだ。
昔から、困った時はニベアだった。
小学生の頃、女子のポケットには、あの青い缶が常備されていた。
あれから間もなく半世紀?時代も社会も人も変化したけれど、変わらないものもある。