朝、炊きたてのご飯でお握りを握りながら、ふと自分の手を見る。
人より小さな手だ。
ピアノのオクターブがギリギリ届くか届かないかのサイズ。
これでピアノを専攻していたのだから、わざわざ不利な分野で自分を試した若き日の青さが、今更ながらに際立つ。
最近、乾燥しやくすなって、ハンドクリームを塗らないと、すぐシワシワになる。
小さなシミも浮いている。
担当の美容師さんや職場のスタッフや我が子の色白で張りのある手と比べると、明らかな衰えが目立つ手。
この小さくて、年を重ねた手で、私はこれまでにいくつお握りを握ってきたのだろう。
私のお握りは、丸っこい三角形。
手が小さいので、お握りも必然的に小さめ。
見慣れた形のお握りを、これまでにいくつ作ってきたのだろう。
私はラップは使わず素手で握るから、たいていあっちあち~~と言いながら。
そんなことをしても手の熱さは変わらないのに、足踏みなんかしちゃったりして・・・。
少年サッカーの大会かなにかで、一度に30個握ったこともあったな。
でもほとんどのお握りは、家族のお弁当用。
子どもたちが大学生になって、私はお弁当作りから解放された。
もう十分やってきたのでから・・・と、夫のお弁当も同時に終了、あれからお昼は出前でお願いしている。
だけどその出前が体にあわなくなってきた。
一人前のうどんや定食が胃にもたれると言うのだ。
お握りだけでもいいから、またお弁当を作って欲しいと・・・。
かくて私のお弁当作りが復活した。
でもお握りだけ・・・ってわけにはいかないよね。
多少負担ではあるが(早起きとか😅)、私自身も胃もたれの不快さが分かるので、できる範囲で協力したい。
そして今朝、じっと手を見る・・・と相成ったわけだ。
そういえば、海街diary(吉田秋生作)で、つわりで食欲のないチカが、妹・すずが小さな手で一生懸命握ったお握りで元気になるシーンがあった。
昨日、何食べた?(よしながふみ作)では、人が素手で握ったお握りは気持ち悪いか?・・・という話題で盛り上がっていた。
お握りって、日本人の生活と切っても切れない食べ物なのかもしれない。
これまでたくさんお握りを握ってきた手。
あといくつ握るのだろう。
そんなことを考えながら、今日もコロコロの三角お握りを握る。