仏壇というものは、一度設置したら、めったなことでは動かしてはいけないそうです。
転居や仏壇の買い替えなどで、やむおえず動かす場合は、仏壇納めという魂を抜く儀式をします。
2年前から片づけをお手伝いしている空き家、あまりにも大量のモノがあったため、いったいいつ終わるのやら見当もつきませんでしたが、地道な週末ごとのゴミ捨ての結果、やっと目途がつきました。
片づけの最後の締めくくりは、仏壇納めです。
お坊さんにお経をあげてもらって、仏壇から魂を抜きます。
ずっと片づけはしてきましたが、その間、掃除はおざなりで、仏間も座敷も埃がたまって、そうとう汚れていました。
そこで仏壇納めの前日、親戚が集まって大掃除。
もうモノはほとんどないので、あとはひたすら掃いたり、拭いたり、掃除機をかけたりの繰り返しです。
畳もすぐに雑巾が真っ黒になるほど、汚れていました。
約2時間、窓を開け放して風を入れながら、黙々と拭きまくります。
膝も手のひらも靴下も真っ黒け…(^^ゞ
だけどね、そうやって汚れを取り除いただけで、全員が感じました、なんだか空気が変わったと。
はっきり見えるわけではないけれど、空気が清々しいと。
空間そのものが浄化された感じがすると。
そうなの、その通りなの。
片づけはお祓い、掃除はお清めと言われるのは、そういうことなの。
さてその仏壇ですが、相当に大きな物です。
昔から北陸地方は、金箔や欄間の技術で知られていますが、仏壇にもその髄が存分に生かされています。
漆の扉を開けると、さらに金箔張りのすかしの扉。
内扉を開けると…。
絢爛豪華なゴールドの世界です。まばゆい…。
では、見事な細工をご覧ください。
床の間に極楽浄土があるかのよう…。
芸術作品といってもいいのではないでしょうか。
この仏壇から魂を抜き、法名のお軸(位牌ではない)を新しい仏壇に移します。
お経をあげてもらって、魂を抜くと、豪華な仏壇もただの箱になります。
ご本尊と法名のお軸は大切に保管して、新しい仏壇へお引越しです。
仏壇屋さんが仏壇を引き取りに来ました。
外せる装飾品は全部外して、搬出します。
大きな仏壇なので、3人がかりです。
そして30分後。
からっぽ。
ただただ清浄な空間が残りました。
長きに亘り、家族の生活を支えてきた家という空間に、いっぱいの感謝をこめて。
ありがとうございました。
雄大な立山に見守られていた1日でした。