1月半ば、大きな地震のショックもまだ抜けぬ頃、かねてから予約していた山中温泉に行ってきた。
自粛も考えたが、被害のなかった加賀地方の温泉も軒並みキャンセルの憂き目にあっていると聞き、ならば私は行こう!・・・と思った。
被災地に行くのは遠慮するという気持ちは分かる。
この寒空の下、知らない誰かとはいえ、同じ日本人が苦しんでいるのに観光なんて・・・、それは人としてごく普通の感覚だ。
ただ誤解があるようだが、石川県は加賀地方と能登地方からなり、大きな被害を被ったのは能登地方、それも突端の方で、金沢を含む加賀地方はほぼ通常どおり。
能登の和倉温泉は壊滅状態だが、加賀温泉郷は元気なのだ。
それなのに遠慮深いみなさまのキャンセルで、加賀温泉も打撃を受けている。
来てもいいんだよ。
私たちはしっかり経済を回して、余剰を生み出し、それを復興のために役立てればいいと思うの。
山中温泉・お花見久兵衛の基本情報
加賀温泉郷には、片山津温泉、山代温泉、山中温泉のみっつの温泉地、ほんの少し離れた小松市の近くには粟津温泉もある。霊峰白山は火山なので、その恩恵だろうか。
Ryokan Cafe お花見久兵衛がある山中温泉は、加賀温泉郷の中でも一番奥まっていて、賑やかで派手な(当社比)山代やカジュアルな片山津に比べると、山中はひなびた感が強く、静かにお湯を楽しむ大人向けの温泉地。開湯1300年、松尾芭蕉も愛でた日本三名湯のひとつと言われている。
所在地 | 〒922-0127 石川県加賀市山中温泉下谷町ニ138-1 |
電話 | 0761-78-1301 |
アクセス | 【車】北陸道加賀ICから約20分 【電車】JR北陸本線加賀温泉駅より無料送迎有(約20分) |
駐車場 | 80台(無料) |
部屋数 | 43室(和室33室、和洋室10室) |
お風呂 | 大浴場、貸し切り露天風呂(要予約)、部屋付露天風呂、貸し切りサウナ |
ロビー
お花見久兵衛はその名のとおり、桜をテーマにしていて、玄関を入ると、桜の花びらを模した紙吹雪が出迎えてくれる。
ロビーにも桜の飾りがあり、お花見風情を醸し出す。
ロビーの大窓からは、すぐ下の渓流が眺められ、真冬でなければベランダでくつろぐこともできる。ハンモックに似た、ゆらゆらする椅子もあったので、気持ちがよさそうだ。
せんべいやお団子を自分で焼くコンロがあったり、お抹茶を自分で点てたり、日本酒の飲み比べをするコーナーもあり、なかなか楽しい。
フリードリンクのお茶うけは、自分で餡子を注入する桜の最中。かわいい🌸。
子どもみたいだけれど、駄菓子がいっぱい並べられると、なんだか嬉しくなってしまう。昔、10円玉を握りしめて、駄菓子屋さんへ行った時の気持ちが蘇る。
アメニティや浴衣は、ロビーから自分で必要な物を持っていくスタイル。アメニティの中に、パックが数種類あったのは嬉しい。
たくさんの漫画本を備えたプレイルームや、温泉では外せない卓球台ももちろん完備。 遊び半分だったけれど、若い子にも圧勝して、私の世代はピンポン強いなぁと改めて思う。
お部屋
お部屋はベッドのある和洋室タイプ。
お部屋に足湯と露天風呂がついている。
・・・という謳い文句だったけれど、これ、露天じゃなくて、室内だよね。眺めはいいけれど。まあ、窓を開けたら、かろうじて露天風呂と言えないこともない。
部屋に風呂や足湯があると、大浴場に行かなくても手軽に入浴ができる。ちょっと寝る前に、温まろうかなとか、朝ご飯の前後にひとっ風呂とか。私は一泊二日で6回も湯に浸かった。
お風呂
温泉ソムリエではないので、お湯の善し悪しはよく分からない。でも何度も繰り返し入りたくなるお湯だった。肩こりがずいぶんラクになった気がする。
泉質: | カルシウム・ナトリウム一硫酸塩泉 |
泉温: | 48.2度 (測定時における気温 19.4度) |
pH値: | 8.4 |
知覚的試験: | 無色 透明 無味 無臭 |
適応症: | 神経症 筋肉痛 関節痛 五十肩 運動麻痺 関節のこわばり うちみ くじき 慢性消化器病 痔疾 冷え性 病後回復期 疲労回復 健康増進 動脈硬化症 きりきず やけど 慢性皮膚病 |
禁忌症: | 急性疾患(特に熱のある場合) 活動性の結核 悪性腫瘍 重い心臓病 呼吸不全 腎不全 出血性疾患 高度の貧血 その他一般的に病勢進行中の疾患 妊娠中(特に初期と末期) |
男女別の大浴場と貸し切り露天風呂がみっつある。貸し切り露天風呂は無料で、チェックイン後、ロビーのボードで予約をする(早い者勝ち)。予約時間になったら、フロントで鍵を受け取り、露天へGO。1回につき40分。貸し切りサウナは有料。
この日は雪が舞っていて、そうとう寒かったが、お湯に入ってしまえばこっちのもの。体の芯までポカポカに温まった。
夏場は蜂が来るらしい。シオカラトンボのフィギュア(蜂避け)が吊ってあった。自然がこんなに豊かな場所だもの、蜂くらいいるよね。
お食事
夕食は半個室にて。私は部屋に食べ物の匂いがこもるのが苦手なので、部屋食よりはレストランのほうが好き。
お食事は普通の温泉旅館のお食事だった。定番というか、特に目新しい感じはないが、王道中の王道。
写真を撮り忘れたが、尾頭付きのノドグロも出てきた。
脂がのっていて、やっぱり美味いわ、ノドグロ!
私は美食の街・金沢の住人なので、多少採点は辛口かもしれないけれど、どれも美味しくいただき、十分に満足した。
まとめ
旅館自体が渓流のすぐ横に建っているので、朝も夜も、部屋にいても、露天風呂に入っていても、サラサラと水の流れる音が聞こえて、なんとも風流な滞在だった。
石川県は大きな地震で被害を受けたが、加賀温泉郷は健気に営業中。能登の復興のためにも、ぜひたくさんの人に足を運んでほしいなと思う。3月半ばには、北陸新幹線も敦賀まで延伸になり、アクセスもぐっとよくなるし、旅行割りも適用されるので、ぜひ、旅行の選択肢に入れてもらえれば嬉しい。