三日はしかとも呼ばれる風疹。
症状ははしかと似ていますが、はしかよりも短い期間で治癒します。
原因は風疹ウイルスで、主な感染経路は患者さんの咳や鼻水を介する飛沫感染ですが、ウイルスが付着した手で鼻や口を触ることで接触感染することもあります。
はしかの患者さんが一人いると、15人前後の免疫を持たない人に感染すると言われますが、風疹の場合は5人前後に広げます。
5人なら、たいしたことないか…と思われるかもしれませんが、実はインフルエンザウイルスよりも、感染力は強いのです。
児童・生徒が感染した場合、学校保健安全法で「発疹が消えるまで出席停止」と定められています。
そしてなにより怖いのは、妊婦さんが感染すると、赤ちゃんが先天性風疹症候群にかかり、心臓や眼や耳に重篤な合併症を発症する危険があること。
妊娠を希望する人やその家族に、風疹の予防接種を勧めるのは、赤ちゃんを守るためでもあるのです。
定期予防接種が始まって、国内で風疹に罹る人はほぼいなくなりました。
ところが2012年度に、20~40代の男性を中心に全国で大発生。
東京都だけで3445人が感染し、16人の赤ちゃんが先天性風疹症候群にかかりました。
さて現在の日本では、ある特定の年代に風疹の抗体が少ないことが分かっています。
それが昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までの間に生まれた男子です。
ちょうど40代、50代の働き盛りの方たち。
東京オリンピックをひかえ、風疹の大流行を押さえるためにも、この年代の抗体値をあげる方針を、厚労省が打ち出しました。
風疹第5期定期接種として、住民票のある自治体から、対象年齢の男性にクーポン券が発行されます。
クーポンがあれば、全国どこの医療機関でも、予防接種が受けられます。
つまり単身赴任中でも、地元に帰らずに接種できるのです。
ただし接種に先駆けて、抗体検査を受ける必要があります。
およそ8割の人は、陽性かグレーゾーンと判定されると見込まれます。
今回、接種の対象になるのは、残り2割の陰性の方のみです。
何度も医療機関に行くのは面倒くさいから、全員が打てばいいのでは…と私は思いましたが、ワクチンがかなり高価なので、限りある予算(税金)を効率的に使うために、まず抗体検査で陽性か陰性かを見極めます。
抗体検査は無料で、夜間や休日も受けられます。
クーポン送付は6月からです。
元々ワクチンが少ないので、対象者を3つのグループに分けて、若い順に送付されますので、すぐに届かなくても心配はありません。(3年計画です)
抗体が陰性とはっきりすれば、全国どこの医療機関ででも、無料で接種できます。
抗体検査とは別の医療機関で、接種を受けてもOKです。
グレーゾーンの場合は、風疹第5期定期接種は受けられませんが、各種助成がありますので、家族に妊娠を希望する人がいる時など、接種をお勧めします。
予防接種にたいしては、いろいろな意見があります。
受ける・受けないは個人の自由ですが、自分の身を守るだけでなく、自分が感染源にならないための選択肢として、予防接種も検討してみてくださいね。