船戸クリニックのヴィラカンポに宿泊し、セラピーで身体をいたわり、おくすりなごはんで食養生。
それだけでも極上のリトリートなのに、さらに満足度を上げてくれたのは、スタッフや看護師さんやセラピストさんたちの、プロの仕事ぶりと温かい気遣いやおもてなしだった。
どの方もみな、笑顔がいい。
人当たりがいい。
こちらが問うたことに、的確な答えが返ってくる。
要望に応えようと、力を尽くしてくれる。
安心して、ゆるゆるになれたのも、スタッフが一丸となって、氣のよい場を作ってくれたからだ。
その筆頭が、船戸博子先生。
(2017年5月撮影)
博子先生は、惜しみなく与える人だと思う。
その豊富な知識を、見識を、人脈を。
ご自分の手間を、時間を、・・・そして愛情を。
「すごい助産師さんがいるから、お話聴けるように手配するね~~」・・・と呼んできてくださったのが、岡野眞規代さん。
【メクルメクいのちの秘密】という本を書かれた方だ。
何千人もの赤ちゃんを取り上げてきた経験から、お産は自然に任せ、医療の介入は必要最低限に抑えるべきだと説く。
病院で管理されたお産をしてきた私たちには、目からウロコのお話だった。
パーソナル薬膳ディナーの前には、博子先生の漢方のレクチャーを拝聴した。
身体を調える漢方のお話だったはずが、女性として生きるとはどういうことか・・・という、かなり深い内容に。
私たちの社会は、男性を基準に形作られてきた。
男性の目線、男性の思考、男性の特性。
「三歩下がって影踏まず」とか「三従(幼い頃は親に、嫁いでからは夫に、老いては子に従え)」とか、「三つ指突いて」とかが、まことしやかに受け入れられてきた社会。
そういう時代だった。
当の女性たちも、そう教えられ、当然のように受け入れてきた。
だが女性性は、抑圧される。
本来は、もっと自由で、素晴らしい性のはずなのに、女性であることが、劣っていることのような社会一般の認識が定着した。
たとえば、大事な機能である生理も、汚れと呼ばれる。
そして女性自身もなんとなく、生理を忌むべきもののように思ってしまう。
「そこを変えていきたいんだよね!」
女性はもっと自分の身体を知るべきだし、女性であることを誇っていいし、女性として自由に幸せになっていい!・・・と博子先生は言う。
そんな話が1時間に収まるわけがない。
もっともっともっと聞いていたかった。
・・・かと思えば、夕ご飯の後、なんとなくフナクリ食堂を去りがたくて、ウロウロしていたら、「お灸してあげるよ!」と、いきなりお灸大会が始まる。
腕を触診して、パパパパッとお灸を据える。
博子先生が選んだスポットは、普通にしていれば分からないが、押すとかなり痛い。
自分でも気づかない身体の不調を、あっという間にピンポイントで見つけ出すプロの技術。
みんなで一列に並んで、前にならえ・・・みたいな姿勢で、お灸をしてもらった。(まるでキョンシー)
一日、診療してお疲れだろうに、夕ご飯も毎回、サーブしてくださった。
その割烹着姿が、なんとも可愛らしくて、みんなで同じ割烹着をオーダーすることに。
みそぶの制服だ~~と、女子高生のようにはしゃぐ一同。(全員50代)
ヴィラカンポの魅力はいっぱいあるが、そのひとつは間違いなく、お茶目で明るい博子先生との語らいだと思う。
ご主人の崇史先生には、あの人たち、なにしに来てるの?・・・と言われちゃったらしいけれど、また行こう!と固く誓い合った私たちなのであった。