四季のある国に暮らす私たち、薬膳や養生は1年というサイクルで考えるといいらしい。
春には春、夏には夏、秋には秋、冬には冬それぞれの特徴があり、それに準じて体調も変化する。
だからいつも同じではなく、その季節に応じた養生を学んで実践するのが望ましい。
…ということで、始まった5回コースの漢方養生講座。
夏の1回目は出席できず悔しい想いをしたが、秋の講座はばっちり聞いてきたので、自分の記録のために書いておこう。
講師は船戸博子先生
私の界隈で漢方といったらこの人しかいない、講師はご存知、船戸博子先生。
平日昼間は岐阜県養老町にある船戸クリニックで、たくさんの患者さんを診察している。
夜は夜で、併設のフナクリ食堂で、おくすりご飯やパーソナル薬膳料理を提供。
すごく忙しく働いているのに、土日となるとあちこちに出向いて出張講座をしてくれる。(しかもたいていお弁当付き!)
いったいいつ休んでいるのかなぁ…と不思議なのだが、きっと先生にとってはこの働き方が、仕事と楽しみの両方を兼ねるのだろう。
だっていつもイキイキしてるから。
仕事とは、事に仕えること。
楽しくて仕方がない”事”を見いだし、そこにエネルギーを注ぐ生き方、ほんと憧れるわ。
秋の薬膳講座のテーマは臓器と感情
感情は臓器に宿るって、聞いたことある?
物理的に宿るかどうか、私には分からないが、感情にはそれぞれ影響を及ぼしやすい臓器がある。
では例のごとく、図にしてみよう。
まずは五臓の図。(五臓六腑って言うよね)
五つの臓器にそれぞれリンクする感情がある。
感情と臓器の関係は双方向、お互いに影響し合う。
たとえば腹が立ってカッカカッカ怒ると、肝を痛める。
また肝が弱ったり傷んだりすると、なぜか怒りたくなる。
心とリンクする感情は喜び。
喜びは別にいいんじゃないのと思ったが、興奮して大はしゃぎする喜び過ぎな状態のこと。
さて、秋に気をつけなければいけない臓器は肺。
肺は哀しみとリンクしている。
確かに夏はエネルギーいっぱいで元気な感じだが、秋は物悲しさが漂う。
憂いの季節なので、気分は沈みがちになる。
だからなんでもないことで落ち込みかけたら、自分のせいではなく、ああ、季節のせいなのね…と責任転嫁してしまおう。
憂いた時はどうするか
哀しみや憂いの対処法は、2種類ある。
ひとつは行動。もうひとつは食。
行動では、感情をリセットするために、五つの徳を積む。
- 仁 : 情愛を持って、相手のことを思って事をなす
- 礼 : 相手を尊敬する/礼節
- 信 : 変らない物を信じる(神、仏、星、太陽など)
- 義 : 人として守るべき道を歩む/正々堂々/胸が張れる行い
- 智 : 苦悩や煩悩を乗り越えるための心理を悟る
うん、まあ、どれも道徳で習ったような…。
博子先生の漢方は中医学なので、老子や孔子の教えが反映されているのだろう。
それぞれの臓器には対応する感情と徳があり、さらには味覚もある。
腹が立った時は、酸っぱい物を食べるとよい。
す~~~っと怒りを冷ましてくれる。
くよくよ思い煩っている時は甘い物。
ああ、これは分る気がする。
落ち込んだ時はスイーツが食べたくなるものね。
人体はナチュラルに必要な味を知っている。
秋は肺にトラブルが起こりやすいので、辛い物を意識して摂るといい。
たとえば唐辛子、ネギ、ペパーミント、しょうがなど。
タバスコやハバネロみたいに強烈な辛さでなくてもいいみたい。(ほっ…)
秋の養生
秋は精神を落ち着かせ、秋の気が身体を損なうことのないように、やたらと動き回らず、ゆったり腰掛け、ゆっくりしゃべる。
空気が乾燥するので、人間の身体も乾きがち。
気分が沈み、喉や肺、腸が乾燥して、風邪をひきやくなり、便秘気味になる。
こんな時は、少し酸味があって水分の多い食べ物がおすすめ。
梨、ざくろ、ぎんなん、サトイモ、はちみつ、ゆりね、白キクラゲ、白ごま、はすの実、大根、レンコン、豆腐などが、乾燥に対していい仕事をする。
風邪は首から入ってくるので、ホホバオイルや加湿器を上手に取り入れてね。
秋の養生弁当
さて1時間半の講義が終わったら、お待ちかねの養生弁当。
今回もフナクリ食堂の西村シェフが腕をふるってくれた。
まずお弁当の説明を受ける。
前回はローズマリーでぐるっと巻いてあったが、今回は秋らしくコスモスが添えられている。
蓋を開けると、ため息と歓声が…。
普段ジャンクばかり食べている身には、まぶしいほどの健康が詰まったお弁当。
彩りもきれい。💕
サツマイモとリンゴのポタージュ。
優しくて、どこか懐かしい味。
デザートは杏仁豆腐と桃膠(とうきょう)。
本物の桃の種(杏だったかも)で作ったとのこと。
私はハウスの杏仁豆腐の素しか使ったことないよ。
食って極めると本当に奥が深い。
大切な知識を伝授してもらったけれど、情報量が多すぎて、すぐに理解できないのが口惜しい。
でもできるところから、気をつけていこう。
そうね、とりあえず【体内乾燥注意報】を発令しておこうかな。