石川県能登半島の突端に、縄文時代の遺跡がある。
ずっと行きたいな~~と思いつつ、金沢からだと車で片道2時間半、日帰りはちょっとキツイかな…と二の足を踏んでいた。
でも片道2時間半の道のりが越えられないハードルなら、憧れの吉野ケ里遺跡はもっと無理。
…というわけで、秋晴れの日曜日、真脇遺跡へ向かった。
真脇遺跡の基本情報
住所: 927-0562 石川県鳳珠郡能登町字真脇48字100番地
アクセス: 北陸自動車道・金沢森本インターからのと里山海道経由で約2時間
遺跡は真脇遺跡公園として整備されており、真脇遺跡縄文館と温泉宿泊施設のポーレポーレが併設されている。
真脇遺跡縄文館: 毎週月・火休館。開館時間は9:00~17:00。入場料は大人330円、小中高生160円。
真脇遺跡縄文館
入館して入場料を支払うと、真脇遺跡を紹介するビデオを観るよう勧められる。
遺跡の概要を説明する5分ほどの短いビデオだ。
真脇遺跡は昭和57年と58年の発掘調査で、縄文時代の前期初頭から晩期終末までの長期定住型集落と判明した。
つまり約6000年前から4000年も続いた、国内でも極めて珍しい集落だ。
土器、石器、装身具類、編物縄類、木製品、巨大な柱、イルカやクジラの骨など、大量の出土品が、年代ごとに積み重なって発見されている。
真脇縄文館では、出土品の一部が展示されているが、ほとんど全てがレプリカではなく、正真正銘のホンモノ。
縄文時代の名前の由来は、土器に縄目模様があること…と遥か昔、社会の時間に習ったが、本当に縄目がくっきり。
なんというか、ザ・土器な感じ。
土偶の一部。
こんな風にイルカを囲い込んで獲っていたらしい。
6000年前から続く漁はもはや固有の文化。
イルカは確かに可愛い動物だし、保護したくなるのも分かるけれど、だからといってイルカ漁を一概に糾弾するのはどうなんだろうね。
だって6000年の歴史があるんだよ?
イルカやクジラや魚類の骨もたくさん出土している。
本物の土器を手に取れるコーナーも。
6000年前の人類が作った土器を、今、私が手にしているこの不思議。
歴史はロマンというけれど、その通りだと思う。
真脇縄文公園
ではいよいよ環状木柱列の跡を見に行こう。
発掘調査で、木柱のサークルが発見された。
ストーンヘンジの木柱版?
発掘時の状態。
広~~~い公園のはるか向こうに佇む木柱。(復元)
近寄ってみよう。
多分これが正面で、玄関のように外に向かって開かれている。
なんらかの儀式に使われたのだろうか。
円の真ん中に座して、地面に触れてみる。
太古の昔、ここでどんな暮らしが営まれていたのか…。
生活様式も社会の仕組みも人と神の在り方も、今とは全然違っていただろう。
だけどやはり子育てに悩んだり、愛を育んだり、切磋琢磨したり、感情を持て余したり、争ったり、競ったり、故人を悼んだりしていたのではないかな。
ゴロンと寝転んで空を仰ぐと、サークルの上の空間が歪んでいるように見えた。
ここ、もしかして、パワースポット?
宇宙と繋がってるの?
宇宙に届くかな、私の手。
こちらもレプリカの縄文小屋。
小屋の中には本物の火。
お客さんがほとんどいないのに、係の人は律儀に火を焚いてくれている。
お墓の跡。
側臥位で脚を折り曲げて埋葬されていたようだ。
もっと知られてほしい場所
遺跡は特別な場所だと思う。
私たちのご先祖様が、ここで暮らしていたのは紛れもない事実。
過去との繋がりをどう捉えるかは人それぞれだが、今私が感じている陽光や風を6000年前の縄文人も同じように感じていた…と思うと、なんだかワクワクする。
きっと同じ星空を見上げ、同じ潮騒に耳を傾けたはず…。
そんな時を超える感覚を味わえる公園なのに、広々として全然密ではないのに、しかも休日なのに、人がいない。
私が滞在した1時間半の間、見かけたのは2人のみ。
もったいないよ~~~~~。
すぐ近くのイカの駅は大賑わいだというのに。
車でたったの5分。イカキングを見たら、真脇遺跡にもぜひ!