大きな病院と開業医は役割が違う
大学病院をはじめとする基幹病院は、緊急性や専門性の高い医療を提供する施設です。 最先端の治療や手術ができ、入院設備を備え、術後のリハビリもできて、医師やナースだけでなく、たくさんのパラメディカルや事務スタッフによる、総合的な医療を受けられます。 一方、町の開業医は、それほど重症ではない患者さんを担当します。 扱う疾患や症状も、オールマイティではありません。 ですが、かかりつけ医として、風邪やインフルエンザや吐き下し、糖尿病や高血圧など持病のコントロール、足が痛い、腰が痛い、眠れない、不安がこみ上げる、めまいがする…からお嫁さんの愚痴まで、幅広く対応します。 また開業医には、患者さんの緊急性を見極める役割も求められます。 このまま経過観察をしてもいいのか、すぐに大病院に搬送するべきか、医師が適切な判断を下して、次へとつなげます。 たとえば身体が痺れるという訴えから、脳梗塞を疑って、設備のある大病院に送るのは、開業医の大切な役目です。
大きな病院を受診することになった
先日、職場の健康診断で血液検査を受けた際、ある数値が基準値の2倍、検出されました。 腫瘍マーカーという、放置できないカテゴリーだったので、大きな病院で詳しく調べることに。 受診したのは消化器内科。 担当してくれた医師は、紹介状と検査データを見比べて、腫瘍マーカーの数値が意味する可能性について説明してくれました。 膵胆管の腫瘍…、でも婦人科系や大腸も除外できないとのこと。 まずもう一度血液検査、そして内視鏡をしましょうか…と先生。 いや、いやいやいや、先生、内視鏡は4カ月前にかかりつけ医でやってるし、大丈夫!と全力で抵抗しました。 だってカメラ飲むの苦手…。(←子どもか!) ⇒3年ぶりに胃カメラ検査を受けてみた
CT検査を受ける
腫瘍…つまり癌があるかもしれないと思うと落ち着かないので、いったん職場に戻りました。 働いているほうが、気がまぎれるし。 ほどなくして先ほどの先生から電話がかかってきました。 「血液検査の結果が出ました。腫瘍マーカーの数値が半分になって、基準値内に収まっています。」 「え?それはどういう…?」 「理由はわかりません。3日で数値がこれほど変わるのは珍しいのですが、午後の検査をどうしますか?」 かかりつけ医とも相談して、異常値が出たことは事実なので、一応検査をしてもらうことにしました。 ですが、造影剤は使わず撮影だけする、ライトな検査に変更です。
検査結果は異状なし
先生が検査結果を手に、待合室まで来てくれました。「なにも異状は見つかりません。治療の必要なしです。」
これからしばらく、かかりつけ医で定期的に血液検査をして、経過観察をすることになりました。
CTを使った大掛かりな検査となりましたが、「異常なし」の一言でどれだけ安心することか。
検査は悪いものを見つけるだけでなく、悪いものがないことを証明するためにもあるんだなぁ…と思いました。
紹介状を渡された患者さんの気持ちが少し分かった
普段私は、町の小さなクリニックで働いています。
紹介状を準備するお手伝いもしますが、紹介状を渡されて大きな病院を受診する患者さんが、どんな気持ちになるのかが、少し理解できました。
なにも診断が下っていないうちに、あれこれ考えるのは無駄だ…と重々承知していながら、やっぱり考えてしまうものです。
もし残り時間が少ないのであれば、まず何をしたらいいんだろう…。
やり残したこと、言い残したことは、ないだろか?
今のうちに会っておくべき人は誰だろうか…なんて。
でも 紹介状 = 深刻なケース ばかりではありません。
私のように、検査で何もないことを証明するケースもあるのだから。
自分が不安を感じた分、患者さんの不安にも心を寄せていけたらいいな…と思います。