昨年放映されたドラマ、僕らは奇跡でできているは、発達障害の青年・相河一輝の物語。
空気を読むのがとてつもなく下手で、自分の好奇心のままに行動する一輝に、周囲は振り回されっぱなし。
歯科医の水本育美(榮倉奈々)も、患者として来院した一輝(高橋一生)に、最初はなんだこいつ…と面食らう。
一輝の反応が、ことごとくズレているからだ。
だがやがて一輝のピュアな内面を垣間見て、徐々に興味を覚えていく。
この人は、いったいどんな人なんだろう…と。
恋愛には発展しないが、友人として仲良くなった頃、一輝が言う。
「僕は水本先生のすごいところを100個言えます。」
さて、私たちは人のすごいところ…と聞いて、どんな性質を思い浮かべるだろうか。
おそらくそれは、標準よりも優れている性質。
誰かよりも、うまくできるなにか。
誰かよりも、才能があるなにか。
誰かよりも、目立ったなにか。
だが一輝が挙げた育美のすごいところは、全然違っていた。
時間を守ります。
歯の治療をします。
歯をきれいにします。
クリニックの院長です。
子ども達に歯の勉強会をします。
紙芝居を作ります。
リスの橋を作るのを手伝ってくれます。
作業が丁寧です。
歩くのが速いです。
餃子は形を揃えられます。
よく食べます。
箸を上手に使います。
会った時、こんにちはって言ってくれます。
あっけにとられる育美。
「それって、誰でもできることなんじゃないんですか?」
「誰でもできることは、できてもすごくないんですか?」
また一輝にすごいところを100個言ってもらった小学生の虹一は、ちゃんと子育てしなければ…とキリキリしている母親に、彼女のすごいところ100個を伝える。
朝、起こしてくれる。
ご飯を作ってくれる。
掃除をしてくれる。
洗濯をしてくれる。
歯ブラシの先が広がったら、替えたほうがいいって言ってくれる。
もしもの時のために、ベランダからロープで逃げる練習をしてくれる。
すごいところ100個の魔法は、一輝から虹一へ、そしてその母親へ、人から人へとつながっていく。
私たちは成長するにつれて、できることが増える。
できなかった時には、すごいと思えたことも、できるようになった途端、普通のことになる。
そして、もうすごい…とは思わない。
だけど、毎朝、ちゃんと起きて、仕事に行くのは、すごいことじゃないのか?
毎日、家族のために、食事を作るのは、すごいことじゃないのか?
相手の目を見て笑顔で「おはよう」と挨拶するのは、すごいことじゃないのか?
はっとするよね?
私たちは、そんなすごいことを、毎日、たくさんこなしているのだ、いちいち気にもとめないけれど!
私のすごいところ。
毎日、朝、遅刻しないように起きます。
カーテンを開けます。
身体が起きていなくても、家族のために、朝ごはんを作ります。
本当は嫌いなのに、毎日、メイクをします。
丁寧に歯を磨きます。
忘れずにメダカに餌をやります。
仏壇の扉を開けます。
お花の水切りをします。
玄関の靴を揃えます。
行ってきますと大きな声で言います。
朝のルーティンだけで、あっという間に10個。
1日の生活を通してみたら、100個どころではないだろう。
私にはいっぱいすごいところがあるよ。あなたは?
僕らは奇跡でできているについて、別の記事も書いています。
→「つらい気持ちだって光だから…」