スーパーのレジに、はちきれそうなお腹の妊婦さんが並んでいました。
その手には、トイレットペーパーと紙おむつとティッシュ。
足元に2歳くらいの女の子が、まとわりついています。
今にも生まれそうな臨月の女性、ただでさえ身体がしんどいのに、さらにこんなことをしなければならないなんて…。
トイレットペーパーがなくなる!…というのはデマだと、大多数の人が知っています。
それでも、スーパーやドラッグストアの棚から、商品が消えます。
『必要なものは、必要な時に、必要な分だけ、与えられる。
必要なものは、必要な時に、必要な分だけゲットする才覚が私にはある。』
押入れの中に買いだめした商品を詰め込むのではなく、自分に対する信頼を積み上げましょう…、断捨離ではそう教えています。
ああ、己が試されるな…、次々と空になる棚を見ながら、思いました。
でも妊婦さんの気持ちも分かるのです。
自分のことだけならまだしも、守らなければいけない人がいる場合、特にそれが幼い無力な子どもだったら、いくら過剰な備蓄は不要と知っていても、やはり備えたいと思うでしょう。
自分と家族の身は自分で守らなければ。
いざとなったら、助けてくれる人はいない。
…そう思わざるをえないのが、切ないですが。
Buddha Program主宰の齋藤つうり氏によれば、日本人が一番恐れているのは、自分が感染することではなく、自分が感染源になって他人に迷惑をかけることだそうです。
他人に迷惑をかけてはいけない…と、小さい頃から教え込まれてきた私たち。
なにかまずいことをして、人に後ろ指さされることを、なにより嫌います。
コロナウイルスに対する過剰反応も、犯人捜しのような感染者特定も、そんな心理から生まれているのでしょう。
実際、インフルエンザでも、毎年、人は亡くなっています。
2018年のインフルエンザによる日本人死亡者は、3000人以上。
コロナウイルスによる死亡者は、2020年2月27日12時現在、3人です。
3人だからいいだろう…と言いたいのではありません。
でも冷静に俯瞰してみれば、少し怖がりすぎではないでしょうか。
私たち日本人は、津波も地震も台風も原発事故も乗り越えてきた民族です。
困難にあっても民度を保ち、知恵を出し合い、生きのびてきた、底力のある民族なのです。
今、私たちがしなければいけないのは、政権や医療やマスコミを責め立てることではありません。
彼らもまた、恐れに囚われているのですから。
人に迷惑をかけてはいけない。
後ろ指さされるような人になってはいけない。
ほら見たことか…と後から糾弾されないようにしておかないといけない。
彼らの中に、そんな恐れが見えませんか?
それは自分の中にも、同じ恐れがあるということに、他なりません。
相手は鏡です。
自分の影を如実に映し出す鏡。
フィールドの外から、人を責めるのは簡単です。
でも、ああ、私の中にも同じ恐れがあるなぁ…と、認めるのはとても難しい。
それでも、自分の中の恐れをしっかり見つめる時、相手に共感し、繋がりが生まれ、そこにヒーリングが起こると齋藤つうり氏は言います。
恐れからガチガチに身構えているトップの人たちが、分かってもらえているという安心感に満たされて、ヒーリングが起こるというのです。
そして癒された彼らは、ふわっと緩んだ心と目で情勢を捉え、次の決断をするでしょう。
世の中はそうやって変わっていくとのことです。
誰かを責めている時は、攻撃のエネルギーが増します。
そうすると自ずと免疫力が下がります。
今は個々人だけでなく、日本全体の免疫が下がっているのでは?
ひとりひとりが、この現象を外のことではなく自分の内のこととして捉え、自分の弱さや恐れを誠実に認める時、きっと私たちはこの危機を乗り越えることができるのだと思います。