テレビドラマや映画で見たことはあるが、実際に裁判所に行くことなんて、一生ないと思っていた。
まさかそんな日が来るなんて…!
弁護士や検察官など、そういうお仕事の人には単なる職場かもしれないが、私にとって裁判所は非日常も非日常、とても敷居の高い場所である。
そういう場所に足を踏み入れるのは、大変に勇気がいる。
仕事上でトラブルがあり、当事者間の話し合いがうまくいかず、かといって訴訟にするほどの案件でもない…、さて、どうするかとなった時、調停を申し立ててみては?…進言された。
調停?
調停ってなに?
そんなド素人の私が、この度、調停を申し立てることになった。
内容は詳しく書けないけれど、双方が署名捺印した契約書に明記されていることに対して、支払い義務はないと主張する相手と、契約通りに履行してほしい私。
そこに司法書士が入り込んできて、支払い義務はないと言い放つ。
説明を求めても、答える義務はないの一点張り。
話し合いに応じない。
法を順守するのが仕事じゃないの、司法書士って?
こんなことがまかり通ったら、契約書なんてただの紙切れだ。
金額的には、見逃せないこともない金額だが、こんな前例を作ると業界全体にとって大変に迷惑なので、泣き寝入りしないことにした。
ただし!
相手側は、最初からけんか腰でも、私はその土俵に乗らないようにしよう。
あんたたちが間違っている!と糾弾する、そんなエネルギーに浸りたくない。
これまで散々学んできた心のことを、この現実に生かしてみよう。
自分が属する社会の仕組みのひとつ、調停とはいったいどんなものかな…と、見学してみるつもりで。
とりあえず裁判所に出向いて、調停の説明を受け、必要書類一式をもらってきた。
提出書類を準備するだけでも、一仕事。
…まきこまれちゃったなぁの感あり。
誰だってそうだと思うが、私はファイティングポーズの人や、ベースに怒りがある人が苦手だ。
書類の準備もさることながら、人と争うことには変わりなく、外は春爛漫なのに、なんとも気が重い…。