家の中に犬がいるのは久しぶり。
一晩お預かりしたコーギーのノナちゃんに、家族全員がメロメロになった。
→ノナちゃんがやってきた!コーギーの女の子が我が家に1泊ホームステイ
夜中の様子
ペットホテルでは、フリーの状態で過ごすことはほとんどない。
しかも人の目がない夜中、バリケンにもケージにも入っていないノナちゃんが、大人しく寝てくれるのか、多少心配ではあった。
飼い主さんからクッション型のベッドを借りてはいたが、それで落ち着いてくれるのかどうか…。
2階で耳を澄ませても、階下は静まり返っている。
抜き足差し足忍び足で、そ~~~~っと様子を見に行った。
ピンクのベッドの中で丸くなって眠っている姿に、一安心。
犬の聴覚は人の何倍も鋭いから、多分気付いていたとは思うけど。
朝6時、階下に降りたら、まだベッドの中。
私の気配に気づくと、おもむろに頭を上げ、のそのそ起きてきた。
野生はもう無くしたんだね(^^ゞ
朝の散歩
昨日とは打って変わって、朝から雨が降っていた。
預かったレインコートを着せてみる。
赤のチェックが似合うね。
ただ、レインコートを着せるとハーネス(胴輪)が使えない。
今日は、首輪で行こう。
ロッキーは雨を嫌がったけれど、ノナちゃんはあまり気にしないよう。
昨日と同じように、メタセコイア並木の散歩は足を踏ん張って拒否する。
仕方がないので、ノナちゃんの自宅のある方向に。
帰りたいのか、リードをぐいぐい引っ張って歩くノナちゃん。
そりゃ、お家に帰りたいよね。分かるけど…。
あと1ブロックで自宅という地点で、事件は起きた。
首輪がすっぽ抜けた!
自宅まで行ってしまうと、絶対、歩かなくなると思ったので、私は逆方向へ行こうとした。
反対方向へ行きたいノナちゃんが、ぐっと踏ん張るので、リードがピンと張る。
そしてあろうことか、頭を上手に左右に振って、首輪を抜いてしまったのだ!
私の手には、主のいなくなったリードと首輪。
ノナちゃんは、走り去るわけではなく、私の手がギリギリ届かない距離で、私を見ている。
頭が真っ白になった。
本気でかけっこしたら、敵うわけがない。
住宅街とはいえ、車だって通る。
逃げられてしまったら、呼び戻せるほどの信頼関係はまだない…。
おやつのジャーキーを持ってこなかったことが、悔やまれる。
どうしよう…。どうしたらいい…?
慌てたらダメだ、相手に伝わる。
落ち着いて、落ち着いて、頭の中で繰り返し、軽く深呼吸。
傘を畳んで、地面にしゃがみこみ、目線をあわせる。
にっこり笑って、「ノナちゃん、おいで~~~♡」ととびきり甘く呼びかけてみた。
名前を呼ばれると嬉しくなってしまうのか、千載一遇のチャンスだというのに、でへへ…と寄ってくる。
手が届く距離まで来た時に、えい!と捕まえようとした。
ところが、するりとかわされて、また離れていく。
自宅まで誘導してみる
やばい、本当にヤバい。
もう私は心臓が止まりそうだった。
ここで作戦変更。
ノナちゃんの自宅は、目と鼻の先だ。
ならば彼女が行きたがっている自宅へ、誘導しよう。
どうか車が来ませんように。
「帰るよ~~」と、小走りで自宅方向へ誘導する。
ノナちゃんは喜んで走り出した。
無事、自宅前についたが、下手に手を出すと、また逃げられてしまう。
アプローチの階段を上り、玄関ドアの前から、「ピンポン押すからおいで」と呼んで、実際にチャイムを鳴らす。
家に入れると勘違いしたノナちゃんは、玄関まであがってきた。
三方を囲まれた狭い空間で、狙いを定めて抱き留めた。
はああああああああ………。
駐車場から動かず
「もう、なんてことしてくれるの!寿命が縮んだよーーー。」
ノナちゃんを抱きしめて、安堵のため息。
でも玄関ドアが開かないので、ノナちゃんは不満そうだ。
首輪を締めなおして、「帰ってご飯にしよう」と誘ってみても、頑として動かない。
飼い主さんが帰ってくるまで、あと6~7時間あるし、ずっとここで待っているわけにもいかないしなぁ…。
20分ほど、駐車場で説得を試みるも、YESと言わないので、もう仕方ない、最後の手段だ。
抱っこで帰る!
体重13キロを両手で抱えるので、傘はさせない。
家まで5分ってところかな。
秋雨じゃ、濡れて帰ろうぞ…なんて。
でもお、重い…。
朝のご飯
腕をプルプルさせながら、ほうほうの体で帰りつき、濡れた身体を拭いてやった。
私をあんなにドキドキさせておきながら、ノナちゃんはケロッとしている。
朝のフードをペロリと平らげて、もっとないの?…とおねだり。
その無邪気な顔を見ながら、よそのワンちゃんを預かるというのは、こんなにも責任の重いことなんだ…と、私は肝に刻んだ。
飼い主さんのご帰宅
午後3時、飼い主さんがお迎えにきた。
まあ、ノナちゃんの嬉しそうなことといったら…。
ご夫婦にかわるがわるペロペロ攻撃を仕掛けている。
そうだよね、誰よりも飼い主さんが好きなんだから、離れているのは辛いよね。
ご主人が「なにか無調法なこをとしませんでしたか?」と仰った。
無調法なんて言葉、久しく聞いてないなぁ…。
そのまなざしや声のトーンで、普段から我が子のようにかわいがっていることが、よく分かった。
首輪すっぽ抜け騒ぎを報告
理由があって、ご主人には聞かせたくなかったが、奥さんには朝のトラブルを報告しなければと思った。
後から電話して、ことの顛末を伝えると、「そうなのよ~~、どんなにキツク締めても首輪を外しちゃうのよね」。
ちょっと、そういうことは、事前に教えておいてよーーーー。(^^ゞ
「びっくりしたよね、ごめんね。」と言われてしまって、「もうこちらこそ、大変なミスをいたしました」と平謝り。
次にお預かりすることがあるとしたら、絶対に首輪ではなくハーネスを使うと申し合わせた。
久々に犬のいる生活を堪能した
ノナちゃんが帰ってしまうと、途端に家の中ががらーーんとしたように感じた。
なにが懐かしかったといって、フローリングにあたる爪の音ほど、ロッキーを思い起こさせるものはなかった。
いつも私の足元にいたロッキー。
お豆腐のパックに小さな切れ目を入れただけで、どこにいてもすっ飛んできて、期待に満ちた目で私を見上げたロッキー。
そこにはいつも小さなカツカツという爪音があった。
今すぐにどうということではないけれど、いつかまた、家の中に爪音が響く生活ができたらいいな…と思う。
おまけ
実は私は夢ノートを書いていて、その中に「犬を飼う」という項目があった。
だがある日、思い直して、「犬と暮らす」に訂正した。
そうしたらその1ヶ月後くらいに、ノナちゃんのホームステイが実現。
効力あるよ、夢ノート!