40歳で最低賃金で働く 扶養控除がサービス残業に繋がる職場

非正規雇用で働いている女性と話をする機会がありました。

ちょうど就職氷河期に就活をした年代の彼女、独身時代は正社員でしたが、結婚・出産後はずっとパートや非正規雇用。

今現在は、ご主人の扶養の範囲内で働いています。

扶養の範囲とは、いわゆる103万の壁のこと。

1年間の収入が103万円を超えると、ご主人の扶養から外れ、健康保険も年金も独自にかけなければなりません。

この制度の是非は、まあ、置いておいて、今はその制度によって、就業時間を制限されているわけです。

年間103万円以内に抑えるには、1ヶ月、8万5000円くらいまでしか働けません。

8万5000円で何時間働けるか…というと、それは時給次第。

時給が低ければ、たくさん働けて、時給が高ければ、その分時間は短くなります。

いずれにしても、8万5000円が上限です。

労働問題

…で、くだんの彼女の場合、なんと時給は最低賃金とのこと。

資格あり、経験あり、年齢40歳。

そんな人材が、最低賃金の時給で働いている…。

最近、石川県の最低賃金が引き上げられたので、時給も少し上がったんですよ…とちょっと嬉しそうだけど…。

しかも、さらにびっくりしたのは、8万5000円を超えた場合は、タイムカードに記録しません。

つまり、サービス残業です。

朝8時15分に出社して、契約では3時までのはずが、仕事が終わらないので、たいてい5時~6時までは帰れないと言います。

それが毎日…。

多少時給が上がったって、結局手取り額は変わりません。

なんか、おかしくない?

ほぼフルタイムで働いて、1ヶ月8万5000円だなんて。

そしてね、同じ条件で働く人が、その職場には100人近くいるそうです。

能力も実績もあるのに、正当に評価されない。

働いても働いても、給与は上がらない。

待遇について質問しても、「上に聞いておくね」といつも流されるとか。

非正規雇用の問題が、こんなに切実なことだったなんて!

ただのコマみたいに使われたら、それは労働意欲も萎えるし、向上心もモチベーションもすり減ります。

労働問題

私の職場にも、パートで働くスタッフがいます。

本当はもっとシフトに入ってほしいけれど、103万の壁に阻まれて、1週間10コマ中4~5コマしか働いてもらえません。

残業代は1分単位で加算するので、8万5000円を超えないよう、時間管理には気を遣います。

以前、特別に忙しい月があり、その月だけ8万5000円超過シフトを組み、他の月の勤務を減らして調整しようと思いました。

ところが、ご主人の勤務先から、任意で選んだ月の給与を12倍して計算するので、年間平均は認められないと、扶養を外されたことがあります。

今月だけですから…と交渉しましたが、ダメでした。

扶養控除は、けっこう厳しくて、融通の利かない制度なので、注意が必要です。

労働問題

ギリギリのスタッフで頑張っている小さな事業所にとって、これは死活問題でもあります。

たとえばお子さんが熱発して、突然休むことになっても、他のスタッフも上限いっぱいなので、代わってもらうことができません。

マンパワーが一人分足りないままで、なんとかサイクルを回すしかないのです。

全員に負荷がかかり、疲労や不満が蓄積します。

 

私は専門家ではないし、特に詳しいわけでもないので、制度を糾弾したいわけではありません。

でもこんな待遇で身をすり減らして働く人を近くに見て、このままじゃいけない…と思いました。

もし彼女が自分の配偶者だったら…?

手塩にかけて育てた娘だったら…?

自分の大事な友だちだったら…?

そう置き換えると、少しは我がことと思えないでしょうか。

働くということは、誰にとっても人生の多くの時間を費やす大切なことです。

働く側と経営側、両方にとってwin-winの働き方が日本の常識となる日が、はやくきますように…と願ってやみません。

win-win

 

この記事を書いた人

Chikako

金沢市在住。バラとコーヒーとコーギーが好き。
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