小さな子どもであれば、買って、買って、買って~~~~~!と泣きわめくこともあるだろう。
スーパーの床にひっくり返って、大泣きしている子はいる。(私には前科があるらしい)
だけど、いい年した大人になれば、そんなことはしない、…というか、できないよね。
そしてさらにいい年になり親が老年になれば、立場が逆転して、子がいろいろ買ってあげるようになり、買って~~~なんて、なおさら言わない。
でも、それって、親にとって、ちょっと寂しいことなのかもしれない…。
いくつになっても子どもに何かしてあげたい、子どもの喜ぶ顔が見たい…というのは、親の共通の想い。
でも年をとって体力も気力も経済力も衰えてくるにつれ、してあげられることが減る。
思い出してみると、何かをしてあげたり、買ってあげたりして、我が子が幸せそうに笑うと、それで自分も嬉しかった。
子どもが成人した今でもそうだ。
ならば、老齢の親たちもきっと同じなのでは?
母の定期検査に付き添った。
その帰り道、白山比咩神社に行きたいと言うので、ちょっと寒かったけれど、足を延ばすことにした。
なんでもお正月に長男夫婦と初詣に行こうとしたが、駐車場の何キロも手前から渋滞していて、諦めてUターンしたのだとか。
杖をつきながらゆっくりゆっくり歩く母。
一番近い駐車場、しかも鳥居のすぐそばに駐車できなければ、参拝は難しい。
初詣というには、あまりにも遅いが、まあ、いいか。
神様も事情をわかってくださるだろう。
1月も第4週目の平日夕方となると、駐車場はがら空きだ。
母のコートの上から、私のストールをぐるぐる巻きにして、手を引いて、ゆっくり歩く。
一歩、一歩、確かめるように、歩く。
幼い頃は、ヨチヨチ歩く私の手を、母が引いてくれたのに、今は立場が逆転している。
お参りが終わったら、体が冷えたので一服したいとの御所望だ。
では、あそこしかないな。
白山比咩神社の北参道駐車場(上の駐車場)内にある、かわいい茶店、甘味処・善与門。
いつもの善与門さんで、いつもの草餅ぜんざい。
あ~~~あったまる。
実は私はぜんざいやお汁粉は苦手なのだが、善与門さんのぜんざいだけは例外。
ふっくら炊けた小豆のほどよい甘さと草餅の香ばしさに、頬が緩む。
ここはママも素敵だ。
いつも白いシャツと黒のボトムスに黒いエプロン。
きりりとしたショートカットに、さわやかな笑顔。
10年前から知っているけれど、全く変わらない。
まさにハンサムウーマンだ。
(画像はないので、ご自身で会いに行ってね♡)
…で、このお店、大きなテーブルふたつとカウンターだけなのだけど、壁際にお土産物を置いている。
ガラス製品や陶器や置物など…。
カエル関係のアイテムが多いのは、オーナーの趣味かしら。
その中に、私の目を引くモノがあった。
これ!
ティーポットなのか、急須なのか。
緑茶でも紅茶でも、どっちでもいけそう。
可愛いなぁ…と思ったけれど、私は安易にモノを買わない。
断捨離する時の辛さを散々味わってきたので、取り入れる時点で、じっくりたっぷり考える派だ。
でも私がポットを手に取って眺めていると、母が横からのぞき込んで、「あら、いいじゃない。買ってあげるわよ」ときた。
え?いや、欲しければ自分で買うし…と言いかけて、思いとどまった。
お母さんに、買ってもらおう!
母が自分の財布からお金を出して、買ってくれた。
買ってもらう…って、なんだか嬉しい。
そして買ってあげた方も、なんだか嬉しそうにしている。
昔は、愛情をモノで表すなんて!…と反発していた。
だけど、ひとつの形なんだ。
不器用な母が、不器用に愛情を表現するひとつの形。
ならば、いっぱい喜んで、受け取ろう。
帰宅してから、夫に「お母さんに買ってもらった!」を連発。
久しぶりに子どもに戻ったみたいで、ウキウキしたよ。
甘味処・善与門 店舗情報
和田屋となり、歩いて2分
営業時間: 11時~17時(夏期は17時30分)
定休日: 毎週火曜日
白山市三の宮(白山さん境内)