寒くなってきた。初雪も降った。
身体も冬に慣らしていかないと…。
船戸博子先生の薬膳養生講座、今回のテーマは【冬】。
折悪しく、朝から大荒れの天気で、岐阜からの道中が心配されたが、博子先生と西村シェフは雪の悪路もなんのその、加賀のワタクシたちのために、遠路はるばる出張講座に出向いてくれた。
先回の【秋】では、身体の乾燥に気をつけるよう言われた。
さて【冬】はなんだろう?
なぜ病気になるのか
病気とは、人にとって不都合なことを指す。
裏を返せば、自分に都合のよい状態が健康とも言える。
一般的に腹痛は不都合なことだが、学校に行きたくない時にお腹が痛くなるのは、都合がいい。
だから腹痛ひとつとっても、全てが不都合(病気)というわけでもないらしい。
では、なぜ病気になるのか。
3つの原因が考えられる。
外因と内因と不外内因。
外因は分りやすいよね。
外から入ってくるばい菌やウイルス。
冬は風邪をひきやすいし、インフルエンザも流行する。
外因たちは、たいてい首から入ってくる。
だから首をガードして、温めるのは理にかなっている。
手首と足首も忘れないでね。
そして内因は、感情がもたらす不調。
秋の講座で、それぞれの感情に影響されやすい臓器があることと、それぞれの季節に弱りやすい臓器があることを学んだ。
図にするとこんな感じ。
冬の場合、注意しなければいけないのは、腎臓だ。
そして腎臓が影響を受けやすい感情は、怖れ。
怖がると、ヒャッと驚いて、髪の毛が逆立つでしょ?
日本語とは本当に不思議な言語で、髪と神は無関係ではない。
神が宿るから、カミ(髪)なんだって。
昔の中国や韓国の偉い人たちは、こぞって髪の毛を高く結ったり、冠をかぶったりした。
それは神様に、自分はここにいる…とアピールするためだった。(超面白れ~~😆)
神が宿る髪が逆立っている時、人はトリップ状態にあり、あっちの世界を垣間見ることができるそうだ。
そして3つめは不外内因。
外因でも内因でもない原因。
食べ過ぎ、性生活のしすぎ、働き過ぎ、歩き過ぎ、頑張り過ぎなど。
主に行動や生活習慣が招く病気ってことかな。
病気には正気と邪気が関わっていて、免疫力や回復力、漢方でいう気血水精は正気。
正気の働きを阻害するのが邪気。
西洋医学は邪気をやっつけ、東洋医学は正気を強くする。
なるほど、なるほど。
冬の養生
冬至は1年で一番、陰の気が強くなる。
こういう時は、あまり動き回らずに、大人しくしているのがよいとのこと。
そして内に内にと入ってみよう。
自分の心と向き合って、じっくり対話するってことかな。
気持ちも考えも無闇に外に出さず、気(エネルギー)や栄養を身体に蓄え、夏や秋の疲れを癒やし、やがて巡ってくる春の芽吹きを待つのがよろしいかと。
寒さで血の巡りが滞り、手足が冷え、肩こりがひどくなり、腰や膝が痛みがち。
血管が収縮して血圧が上がるので、心臓や循環器に負担がかかる。
乾燥に寒さが加わり、呼吸器系も要注意。
冬は腎臓が働く季節なので、腰を温め、不要な水分は尿として排出すること。
腎は老化を予防してくれるんだって💕
人体のリズムにあわせると、冬は早寝遅起きがお勧め。
よっしゃ、早寝は苦手だけど、遅起きは任せて!
それと激しい運動は控え、ダイエットはしない。
暖房の効かせすぎは逆によくないので、少し肌寒いくらいがよい。(温かすぎると毛穴が開いて、気が逃げる)
昔からいう頭寒足熱を心がけるといいね。
お勧めは小さくて黒い食べ物。
黒豆、ひじき、キクラゲ、ごま、ワカメなど。
(会場は加賀市・土田歯科医院のはなみずきルーム)
よりよく死ぬために
講義はここまでなんだけど、今回はけっこう脱線した。
だがこの脱線がすごく面白くて。
あの世の話とか、ゾーンに入る方法とか、ちょっと怪しい話がポンポン飛び出す。
そんなテーマのほうが、博子先生、なんか楽しそう。
そしてさすがは霊峰白山のお膝元で暮らす加賀の女性たち。
全然引かない…。むしろ身を乗り出してるし。😅
私たちは普段、死について、あまり語らない。
だけど誰もが等しく迎えるのが死だ。
東海地震は起きないかもしれないけれど、死は必ず訪れる。
ならば、事前に知識として知っておいたほうが、いたずらに怖がらずにすむよね。
生を分っていないと、死は語れないと博子先生は言う。
逆もまたしかりで、今ある命を精一杯生きるためにも、死を理解していたほうが絶対いいと私は思う。
ドクターという立場でありながら、タブー視されがちな死について、ズバッと語ってくれる博子先生、超かっこいいな。
冬の養生弁当
さてお待ちかねのお弁当。
今回は、なんと2種のスープ弁当。
黒の熱々スープは、鶏、黒ごま、黒きくらげ、黒豆、大根、花椒、八角。
赤の熱々スープは、アサリ、イカ、エビ(巨大)、人参、ニンニク、証が、ネギ、唐辛子、豆板醤。
ご飯は、銀杏と枸杞(クコ)入り。
彩りはvilla campoの畑で採れたチビ人参とケールの素揚げ。
卵は飼育している鶏たちからのプレゼント。
とどめに蒸し饅頭。
黒のスープは、薬膳っぽい味がする。
赤いスープは、魚介の出汁がきいていて、まるでブイヤベース。
真ん中に盛ったご飯と、西村シェフがその場でこねて、成形して、蒸し上げた蒸し饅頭と一緒に頬張る。
黒と赤を交互に食す。
それぞれ個性的な美味しさが口いっぱいに広がる瞬間を、しあわせと呼ばずしてなんと呼べばいいのだろう。
デザートはこちら。
ケールの葉っぱの上に、ちょこんと鎮座ましますのは、villa campoの猫窯(移動式ピザ窯)で燻した干し柿。
ビーガンチーズとクルミがトッピングされている。
脇を固めるのは、鹿児島産大ナツメの黒酢漬け。
もうこの可愛いビジュアルだけで、ハート撃ち抜かれるね。
私たちが歓声上げてお弁当にくらいついている間に、博子先生と西村シェフはパパパパッと後片付けをして、粉雪の舞う中、鮮やかに撤収していった。
いやいや、ほんとは一緒にご飯食べたり、もっとお話聞いたりしたいんだけど…。
でもこの日は、船戸クリニックで庭能が奉納されていたみたいだから、疾風のようにやってきて、疾風のように去って行くのも仕方ない。
春の養生講座まで、エネルギーと気と脂肪をたっぷり溜め込んで、芽吹きの季節を待つこととしよう。