船戸博子先生の春の養生講座・自分の体質を理解する

名残の桜も散ってしまった4月中旬の日曜日、木の香に包まれた土田歯科医院のはなみずきルーム。 船戸博子先生の養生講座5回コースの4回目は、西行の歌から始まった。 【何ごとのおわしますかは知らねども かたじけなさに涙こぼるる】 これは西行が伊勢神宮に参った際、その感動を詠んだ歌。 ”何か分らないけれどすごいもの”の存在を感じ、ただ勝手に涙が出てくる。 この”何か分らないけれどすごいもの”とは、私の生命を育み守ってくれるもの・・・と博子先生は解釈する。 →船戸博子先生はこんな人

漢方の考え方

西洋医学は、自覚症状がなくても、検査で異常が認められれば、病気と診断して治療をする。 すべて数値で証明ができ、曖昧さがない。 東洋医学は、なんだか自覚症状がある感じだけれど、検査の値には現れない症状を得意とする。 検査でこれだ!という原因が掴めなければ、西洋医学的には診断がつけづらい。 でも患者さんは、確かにつらいと感じている。 未病・・・と言うのかしらね。 西洋医学にも東洋医学にも、それぞれ得意な分野がある。 両方が人類の叡智なのだから、・・・上手に使いわけたらいいのだと思う。 例えば外傷や重度の感染症なら、圧倒的に西洋医学が有利だ。 自分の体質を知り、病気にならない身体を作るには、東洋医学が抜きん出ている。 博子先生の視野には、幸せな死に方まで入っている。 船戸博子先生

私を知る

では漢方の観点から、自分の体質を分析してみよう。 気血水(キ・ケツ・シン)とは、人体を構成する三大要素のこと。 五臓で生成されて身体を巡る。 人体の構成要素気と血と水は、相互に作用しあう健康の物差しとなる。 今回は”気”に焦点を当てて学ぶ。 気に関して、人の体質は、気虚気滞ちょうどいいの3つに分けられる。 過不足なく、気がちょうどいいバランスの体質は、説明の必要はないだろう。

✵ 気虚

気虚とは、気が欠乏している体質、つまりエネルギー不足の状態だ。 エネルギーが十分でないと、臓器は正位置を保てない。 胃、膀胱、子宮などが下垂気味になり、トイレが近くなったり、漏れたりする。 気虚の人は、膀胱炎などの感染症に注意が必要。 アレルギー、不妊、胃腸の病気にもなりやすい。 自分を守る力が弱いので、不定愁訴も多い。 気虚はお腹ぽっこりの原因にもなる。   気虚の人の一日はこんな感じだ。 寝覚めが悪く、なかなか起き上がれない。 やっと起きても、なんだかぼーーーっとしていて、胃も動かないから朝ご飯も食べたくない。 そんな状態で学校や仕事に行き、午前中はエンジンがかからないまま。 お昼ご飯を食べると、胃に気が集中して、仕事や勉強が捗らない。 だいたい15時くらいになると、シャキン!として、馬力が上がり出す。 だが自宅に帰ってひと休みしたら、もう動けない。 なんとか夕ご飯を食べると、21時頃には猛烈な眠気に襲われ、寝落ち。 台所もそのまま、化粧も落としていないので、真夜中にむくりと起き上がり、うだうだと動く。 きちんと床に入るのが真夜中過ぎ。 睡眠も足りていないので疲れが取れず、翌朝、また起きられない・・・の繰り返し。 これを聞いた時、あたたたたと耳が痛かった。 私の1日そのものだったから。 そうか、私は気虚、エネルギー不足の体質なのか。 気虚の人は、優しい人が多いが、すぐへこたれるし泣き虫。だけど、長生きする。 疲れやすく、持続力がなく、やる気が出るまで時間がかかる。(さらにあたたたた・・・💦) でもこれは生まれ持った体質なので、根本から変えることはできない。 博子先生は、受け入れなさいと言う。 私はこういう体質で、怠けているわけじゃないと許容し、気虚の傾向を和らげるような工夫をして生きていこう・・・と前向きに捉えるとよい。 対策としては、朝食抜きをやめる。 ダイエットはしない。 睡眠不足や過労を避ける。 季節の変わり目は、身体の要求に従ってダラダラしていい。(嬉しい😄) 瞬発力が問われる運動は向かない。 ストレッチ、ヨガ、気功など、ゆったりした運動がいい。

気虚の人にお勧めな食べ物

・穀物ーーーひえ、きび、粟、餅米、うるち米、そば、どうもろこし、大豆、大豆製品、空豆、枝豆 ・肉類ーーー牛肉、鶏肉、豚肉、羊肉、鴨肉、魚介類、 ・魚介類ーーーうなぎ、鮭、えび、まぐろ、いか、ホタテ、 ・野菜ーーーまいたけ、しいたけ、人参、山芋、ジャガイモ、里芋、サツマイモ、さやいげんげん、カボチャ、キャベツ、ブロッコリー ・果物ーーーなつめ、さくらんぼ、桃、ぶどう、 ・健康茶ーーーほうじ茶、そば茶、麦茶 船戸クリニック

✵ 気滞

気滞は、気がありすぎて、身体のあちこちで滞っている体質。 気が鬱々したり、あちこちが痛いと感じたり、疲れてもいないのに憂鬱になったりする。 症状の改善には時間がかかる。 ひとつ改善すると、また次の症状が現れ、絶えずどこかの調子が悪い。 こういう症状で西洋医学を受診すると、自律神経失調症とか更年期とかで片づけられがち。 あるいは「年のせいだから、仕方がないですね」・・・と言われる。 気滞の人が陥りやすいのは、神経症、拒食症、過食症などで、生理と連動していることも多い。 口臭が強め。 どちらかというと男性に多い。

気滞の人にお勧めな食べ物

・魚介類ーーー牡蠣、あさり、シジミ、イカ、タコ、 ・野菜ーーーみょうが、三つ葉、春菊、パセリ、シソ、香菜(パクチー)、ニラ、ネギ、大根、かいわれ大根、 ・果物ーーーみかん、グレープフルーツ、ゆず、金柑、レモン、梅、サンザシ、 ・スパイスーーー生姜、八角、フェンネル ・健康茶ーーージャスミンティー、ミントティー、カモミールティー

博子先生からのメッセージ

気虚と気滞は、生まれつきの体質であって、どちらがよい、悪いというものではない。 今はどちらの性質が強いのか、弱いのかを、自分の身体に聴いてあげるとよい。 気血水の流れの中に【私らしさ】が現れていると知り、安心して暮らす。 私たちの本質は元々とても曖昧なもの。 私は私でいいと自分で認めて、愛してください。

春の養生弁当

さあ、講義が終わったら、お楽しみのお弁当。 フナクリ食堂のカリスマシェフ、ゆうこさんが作ってくれたパワー弁当、今回はどんなのかな😄 船戸クリニック 船戸クリニックで摘んだラベンダーが添えてある。 蓋を開けると・・・。 船戸クリニック もうこれでもか!・・・ってくらい、ぎっしり春が詰まっていた。 船戸クリニック ひとつひとつ説明してもらう。 いちいち、ほお~~~っとか、わあ~~~っとか歓声が上がる。 船戸クリニック アサリとクレソンのスープは、とてつもなく美味しい出汁がきいていて、一口すすると、魂が口から抜けていきそうだった。 そしてこちらが見目も麗しいデザート。 船戸クリニック
豆腐じゃないよ。
アーモンドミルクの寒天が、ホスタの葉とボタンの花びらの上ですまし顔。
ピンク色のジュレは、なんとホトケノザ!
りんごの花びらと一緒に口に入れると、ほろほろと溶けていった。
お弁当の中身は、こちらから確認してね。↓
春の養生弁当
船戸博子先生の養生5回コースも、あと1回を残すのみ。
特に今回は、自分の体質を知るというパーソナルな講義だったので、参加者の興味とやる気も倍増だった。
最終回は、血と水を同時にやるとのこと。
大丈夫かなぁ・・・、たった1時間しかないんだけど。 (気虚に比べて、気滞の説明が少ないのは時間不足だったから💦)
船戸クリニック ああ、なんかしみじみ生き返る感じ💕

この記事を書いた人

Chikakoプロフィール

Chikako

金沢市在住。バラとコーヒーとコーギーが好き。
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