金沢市の公立高校の合格発表があった。
都市部とは違い、金沢市では昔から、公立高校を第一志望にする子が多い。
私立専願の子もいるが、滑り止めの意味もあって、公立受験の前にほぼ全員が私立を受ける。
私立側も心得たもので、公立合格組が入学辞退することを見越して、定員の数倍の合格を出す。
だから公立受験の頃には、ほぼ全員が私立への切符を手にしている状態だ。
そして3月上旬公立受験に臨み、卒業式を経て、合格発表がある。
昨日はSNS上に、サクラサクの報告が相次いだ。
おめでとう!
だが、残念ながら、不本意な結果に終わった子もいる。
友達が躍り上がって喜んでいる横で、唇をぎゅっと噛みしめて、泣くのをこらえた君。
今日は君のために、ブログを書くよ。
昨日の今日だから、君はまだ混乱しているかもしれない。
悔しさと悲しさと後悔が入り混じった、やるせない気持ちを持て余しているだろうか。
お母さんに「ごめん」と謝った子もいたと聞く。
謝る必要なんかない。
君はよく頑張った。
辛い結果ではあるけれど、恥じることは1ミリもない。
君はいらない…と志望校から言われたように感じて、自分はダメな人間だと、もしかしたら今、思っているかもしれない。
全然ダメな人間じゃないよ。
君の存在価値や人としての尊さは、受験前となにひとつ変わっていない。
君は生まれた時からずっと、かけがえのない大切な存在で、愛されている。
君の人生は、なにも損なわれていない。
でも今、君は傷ついているよね。
そのことを受け止めてほしい。
自分は悲しんでいる、傷ついている、悔しがっている…、その感情に蓋をしないでほしい。
忌々しいかもしれないが、その想いを認めてほしい。
平気な顔をして、無理に明るく振る舞う必要はないから。
立ち上がるのは、その後でいい。
今の気持ちを、ちゃんと味わい尽くしてからでいい。
時間がかかってもいい。
そのために入学式まで、3週間近くあるのだから。
どの学校に行くかは、ご縁のものだと私は思う。
第一志望ではなかったけれど、君は私立高校とご縁があった。
だから堂々と胸を張って、入学してほしい。
その学校でどんな3年間を過ごすのかが、大事なのだ。
どんな先生や友達と出会い、どんなことを学び、どんな部活に情熱を注ぎ、どんな体験を積み重ねるか…。
君の3年間は、希望と可能性に満ちている。
そしてちょっと振り向いてみて。
君のお父さんとお母さんは、君を励まそうとして、「長い人生から見れば、たいしたことじゃないよ」と笑顔で君に接しているかもしれない。
でもその笑顔の下に、大きな哀しみを抱えている。
それは君が合格できなかったことを、悔しがっているのではない。
君が傷ついている姿に、自身も傷ついているのだ。
誰よりも君の希望が叶うことを願っていた人たちだから、君の悲しさや苦しさが我がこと以上に、胸をしめつける。
どうしてあげることもできない自分の無力さに、歯噛みしている。
君の苦しさを、肩代わりしてあげられないジレンマに、さいなまれている。
お父さんとお母さんの哀しみ。
…それは、君が愛されている証だ。
重ねて言うが、君の存在価値は露ほども脅かされていない。
お父さんとお母さんの愛情も、全く変わっていない。
君の人生は、これからも光の道だ。
だから今、全てを失ったように感じていても、大丈夫なんだよ。
まずは思いっきり泣いて、悔しい感情を吐きつくす。
それから、ゆっくり顔を上げて、前を向こう。
頑張った自分に誇りを持って、入学式に臨んでほしい。
卒業おめでとう。
入学おめでとう。
君の経験は、決して無駄にはならない。
そして、お父さんとお母さんにも一言。
傷つく子どもの手前、親は落ち込んだ素振りを見せてはいけないと、今、頑張っているかもしれない。
でも親だって傷つく。
大切な我が子の悲しむ姿を見たら、誰だって深く傷つく。
その想いを無視しないでほしい。
今、私はとても悲しい、やるせない、傷ついている…と、感情をそのまま認めてほしい。
負の感情は、認められてはじめて昇華する。
いったんしっかり味わってからでないと、感情は手放せない。
だから今の気持ちを見つめることは、とても大切なことだ。
そうやって気持ちがリセットできたなら、今度は我が子の入学を、盛大にお祝いしてあげてほしい。
15年間、一生懸命育てた子どもが、晴れて高校生になる…。
その門出を、嬉しい気持ち満開で、みんなでお祝いしてほしいと思う。
もう春がすぐそこまで来ている。