「繊細さん」の本・武田友紀 敏感すぎて疲れてしまう貴方へ

HSPあるいはHSCという言葉を、最近よく耳にする。

HSPはhighly sensitive personの略、つまりとても敏感な人のことだ。

HSCはchildで敏感な子ども。

HSPやHSCは、五感全ての感度が一般よりも高い人を指す。

人によって違うが、目からの刺激に極端に弱い人、耳からの刺激に人一倍反応する人、味覚が並外れて鋭い人、臭いに・・・、肌触りに・・・と、通常の生活が負担になるほど、感覚が研ぎ澄まされている。

程度の差はあれ、5人に1人はHSPだというのだから、驚きだ。

繊細さんとは?

HSPやHSCを、本書では親しみを込めて、「繊細さん」と呼ぶ。

繊細さんは、繊細すぎて、疲れてしまう。

普通の人が気にしないことやスルーすることも、全部、受け止めてしまうから。

繊細さんは小さなことに気が付きすぎる。

たとえば、自動販売機の音、冷蔵庫の機械音、気温のわずかな変化、相手の微妙な表情の違い、スマホの光など、生活する上で排除できない諸々が、いちいち意識上でクローズアップされる。

だがこの感覚の繊細さは、生まれつきの気質。

治療したり、矯正したりはできない。

「気にしなければいいよ」とか「もっと鈍感になれば」とかアドバイスされても、繊細さんには、ものすごくハードルが高い。

だって気にしないこと自体が、どういうことか分からないのだから。

こんなに全てを拾っていたら、それは疲れるよね。

気が休まる暇がない。

「繊細さん」の本

信じられない、そんな人が本当にいるの?・・・と思ったら、ちょっと周囲を見回してほしい。

ものすごく慎重で、起こりうるリスクを、大げさすぎるほど微に入り細に入り突き詰める人、いない?

だから仕事が遅いと、言われがちなのだけれど。

とりあえず、やってみようかと、見切り発車できる人は、繊細さんではない。

人の機嫌にとても敏感で、自分のせいでもないのに、相手のイライラや不機嫌に飲み込まれている人、いない?

繊細さんは、人の機嫌の善し悪しを一瞬で見抜く。

そして相手の機嫌は相手の責任なのに、自分のせい?・・・とオロオロする。

決して人嫌いなわけではないが、長時間ずっと誰かと一緒にいると疲れてしまい、一人の時間を必要とする人、いない?

繊細さんには、1人の時間が絶対不可欠。

1人になって、たくさんの刺激で緊張した神経を休め、自分のペースを取り戻さないと、追い詰められてしまう。

ね・・・、思い当たる節、あるでしょ?

5人に1人の割合なのだから、貴方の周りにも、繊細さんは必ずいる。

でも気がつかないタイプの人には、繊細さんの繊細さが見えない。

繊細さんが元気に生きるために

本書では、繊細さんたちが、繊細さん仕様になっていない社会で生きるためのライフハックを解説している。

視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、五感それぞれへの刺激を、どうやって軽減するか。

そして自分の感覚と違う感覚の持ち主に、その刺激がどれほどしんどいかを、いかにして伝えるか。

繊細さを欠点と捉えるのではなく、強みとして生かしていくには、どうしたらいいのか。

具体的にできることは、たくさんある。

治すことも、変えることもできないのであれば、その性質を持ったまま、いかに元気に生きるかが大事だと思う。

個人的には、誰かの怒りに直面した時、テレビかアクリル板を思い浮かべる・・・というのが、ヒットした。

相手がテレビ画面やアクリル板の向こうで怒っている・・・と想定すると、ワンクッション置けるので、怒りに巻き込まれて、自分まで疲弊することがなくなるとのこと。

これは、いいことを聞いた。

「繊細さん」の本

繊細さを生かす

繊細さんは繊細すぎて疲れてしまうが、自分の感覚が繊細だということに気づき、意識することで、逆に生かしていくこともできる。

繊細さんは、相手の話を深く受け止めながら聞くことができるし、相手のニーズをキャッチして、細やかにケアすることができる。

相手のよい所を見つけるのも得意だ。

他の人が気づかない改善点に気づき、リスクを察知して事前回避に役立てられる。

また学習能力も高く、相手の動作を見るだけで、同じことができるようになる。

物事を深く味わう力あるので、小さなことに気づいて愉しみ、日常の些細なことに幸せを感じる。

特に聞き上手の性質は、自分を疲弊させない術を身につけた上で、ぜひ役立ててほしい。

 

累計15万部を突破した「繊細さん」の本、気になりながらなかなか手が出なかったのは、実は怖かったからでもある。

私自身が5人に1人の1人だったら・・・と思うと。

でも知ることは、決してマイナスではない。

知って、認めて、学んで、そして元気に生きていこう!

セルフイメージ

 

この記事を書いた人

Chikako

金沢市在住。バラとコーヒーとコーギーが好き。
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