8月の暑い日、空色の車がやってきた。
それまで乗っていたのは、間もなく製造から12年になろうとする、マツダのベリーサ。
小っこい体で街中でも高速でも、小気味よく走り、内装もシックで気に入っていた。
だがさすがに12年にもなると・・・、そろそろと思い始める。
昨年9月が車検だったので、それを機に乗り換えようと計画したが、次の車が見つからない。
次の車に望むのは、四駆であることと、運転しやすいこと。
私の住まいは坂の上にあるので、降雪時は四駆が必須。
そこに夫の注文が加わった。
安全性だ。
多少ぶつかっても、ぶつかられても、ビクともしない頑丈な車。
そして安全サポート機能が充実した車だ。(加齢を考慮して?)
車の世界も日進月歩。
自動車メーカーはどこも、安全性向上を目指して研究に力を入れている。
頑丈な車・・・というと、SUVかな。
でも私はあまり大きな車は、嫌なのだ。
混んだ駐車場でも、するりんと止められるようなサイズがいい。
日本車は、事故った時に、前と後ろがくしゃっと潰れることで、室内空間を守る。
だから戦車みたいな車でなくても、大丈夫じゃないかな。
そんなことを念頭に、いろいろ探してみたのだが、これに乗りたい!という車にめぐり逢えなかった。
volvoも考えたけれど、四駆になると、サイズがかなり大きい。
そして時間切れ。
しょうがない、これはもうしばらくベリーサに乗れという天の思し召し。
車検を通して、あと2年、ゆっくり探そうと思った。
そのままベリーサとともに年を越した。
そして2月、ふと見た新車発表会の記事。
ホンダが新型フィットを発売するという。
フィットね・・・。ふ~~~~ん。
だが、その新型モデルの画像に目が釘付けになった。
面構えが可愛い。
そしてモデル車のカラーが水色だった。
しかもメタリックじゃない、絶妙にいい水色。
私は昔から、水色の車に乗りたかった。
水色の車に乗って、風のように走りたかった。
だけど、水色は車には珍しいカラーだ。
たまにあっても、なかなか透明感のある水色ではなく・・・。
画像だけしか見ていないので、実物は違うかも・・・と思いつつ、水色の新型フィットに心をわしづかみにされた。
この車だったら、乗りたい!
ただしこの水色を展開しているのは、新型フィットのクロススターというモデルだけ。
これはアウトドア大好きな若者をターゲットにしていると思われる。
・・・アウトドア。縁がないよ。(^^ゞ
(カタログより)
そして3月。
懇意の車屋さんに相談すると、市内の店舗に水色のクロススターが試乗車としてくるという情報を教えてくれた。
訪ねてみたら、生憎、定休日。
でも店先にちょこんと置かれたクロススターに、私の気持ちは決まった。
これしかない!
試乗もせずに、好きか嫌いかで決めるのもどうかと思うが、私はいつもこうだ。
日本の車を圧倒的に信頼しているので、性能に大差はないと思っている。
だとすると、残るは自分の感性だけ。
地方都市に暮らす者にとって、車は生活の足、大事な相棒だ。
毎日付き合う相棒なんだから、”好き”は外せない。
気持ちは決まったものの、その後、コロナ騒ぎが拡大し、ホンダの工場も生産を制限。
なかなか話が進まなかったが、8月、ようやく待ち焦がれた新型フィットがやってきた。
晴れ渡った夏の空を思わせるボディカラー。
思わず、「青空号」と名付けてしまった。(^^ゞ
去って行くベリーサの後ろ姿に、心が痛んだ。
長いこと、どうもありがとう。
さて青空号を駆って、どこへ行こうか。