映画【種まく旅人~華蓮(ハス)のかがやき~】 日本の農業に未来はあるのか?

ご当地映画は、もうそれだけで楽しい。

自分が知っている街の風景や馴染みの店が出てくるから。

お、あそこ行ったことある。あれ食べたことある!

・・・そんな風に自分の街を追体験できるし、大画面の中の街は、ちょっと特別に見える。

種まく旅人~華蓮(ハス)のかがやき~のテーマは、石川県のブランド野菜、加賀レンコン。

地元とレンコン、レンコン大好きな私としては、見逃せない映画だ。

種まく旅人~華蓮(ハス)のかがやき~のストーリー

日本の食糧自給率の低下は、誰もが知るところ。

農業に就きたい若者も激減している。

いったいどうして若者は、農業に魅力を感じないのだろう?

農林水産庁の職員、神野恵子(栗山千明)は、農業の問題点を探るため、金沢市のレンコン栽培の視察に訪れる。

市の職員にまず案内されたのは、何人もの人を雇ってレンコン栽培をする会社組織。

もちろん休業制度や福利厚生もある。

担い手は主に女性だが、彼女たちは底抜けに明るい。

休憩室での話題は、ネイルやカフェ。

丸の内のOLとなんら変わりはない。

就業時間が終われば、お洒落をして街に繰り出し、アフター5を楽しむ。

「農業女子ですね!」

従来の農業とはかけ離れた明るいイメージに、恵子は驚きを隠せない。

だが一方で、昔ながらの家族単位の農家も存在する。

一家総出で農業に勤しむが、最大の課題は、後継者不足。

素晴らしいレンコンを作ると評判の山田家も、例外ではない。

山田家の長男、良一(平岡祐太)は、レンコンが大嫌い。

朝から晩まで泥まみれになって働く両親をずっと見てきて、自分は絶対に農業は継がないと心に決めている。

大学卒業後は、堺市で信用金庫に勤務。

結婚を考える恋人もいて、このまま都会で生きていくと思っていた。

ところが、そんな良一に実家から電話が。

「お父さんが脳梗塞で倒れた!」

身体が不自由になった父親(綿引勝彦)と母親(吉野由志子)だけでは、レンコン栽培を続けられない。

おまけに3000万の借金があることが発覚し、農家を継いで借金を返すか、レンコン畑を手放すかの選択を迫られる。

恋人(大久保麻梨子)は、「農業なんて1ミリも興味ない!」と激怒。

信金で担当した客が、融資打ち切りで自殺したこともあり、良一は自分のこれからを思い悩む。

種まく旅人

日本の農業に明日はあるのか

3Kのイメージが拭い去れない農業だが、やはり欠かせないのは女性の力。

だが現代の若い女性は、農業に魅力を感じない。

キツい労働や収入の不安定さに加え、昔ながらの家制度の中で、全てを犠牲にすることを求められるからだ。

村社会には未だ男尊女卑が根深く残り、【嫁】の立場は限りなく弱い。

農業女子!・・・とはしゃぐ恵子は、「農業の表面だけを見るな!」と反発される。

だが農業に悦びがないわけではない。

自分が手塩にかけて育てた作物が実り、それを手にした時が、最高に嬉しいのだと、良一の父母は言う。

生命のきらめき。

その尊いきらめきを、きらめきとして留めるためには、跡取りとか長男の嫁とか、そういった旧態依然の在り方から改める必要があるのだ・・・と、恵子はレポートする。

Chikakoの感想

難しいテーマだ。

だって明日から農業やれって言われたら、無理って思うもの。

ガーデニングが好きとか、バラが好きとか、そういうレベルではない。

だけど食と人とは切り離せない。

食べる物がなければ、人間は生きられないのだから。

農業の未来は、人類の未来と言っても過言ではない。

他の職業と同一ラインに並ばせるためには、どうすればいいのか?

私の義父母は定年後、畑で野菜を育てていた。

自分たちだけでは消費しきれず、我が家にもたくさんのお裾分けが届いた。

野菜は工業製品ではない。

旬の時に、旬の物が、食べきれないほど実る。

明けても暮れてもナスばかり・・・で辟易したことも。(^^ゞ

だけど、朝ご飯のために裏の畑に行って、味噌汁の具を摘んでくる暮らしは、人の本来の在り方に近いのかもしれない。

自分の食べる分を自分で作る、自給自足は理想的ではあるが・・・。

機械やAIに任せる所は任せ、働く環境を改善し、作物を育てる悦びが犠牲を上回る、そんな農業を実現しなければ、・・・そんなことを問いかける映画だった。

種まく旅人は連作で、みのりの茶(臼杵市・お茶農家)、夢のつぎ木(赤磐市・桃農家)、くにうみの郷(淡路島・農業と漁業)もそれぞれ日本の農業をテーマに掘り下げている。

金沢のレンコン農家・アグリファイブさんのお料理教室に参加しました(2017年)

この記事を書いた人

Chikako

Chikako

金沢市在住。バラとコーヒーとコーギーが好き。
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