SOCモデル 年を重ねることが必ずしも悲観的ではないことを、学問から知る

この春、放送大学の受講を始め、40年ぶりに女子大生になったワタクシだが、1学期の通信指導(中間テストみたいなもの)が終わった時点で、先行きが怪しくなった。

受講しているのは、【発達心理学概論】と【発達科学の先人たち】。

用語などが難しく、ちんぷんかんぷんなこともあるが、学習自体は面白い。

なのに、時間が取れなくなってきたのだ。

・・・といっても、1週間に1科目45分の講義を受ければいいだけなのだが。

やはり若い頃とは違う。

実生活が忙しいと、学びに振り向ける気力や体力が続かない。

言い訳?そう、言い訳さ。😅

私の職場のクリニックでは、covid19ワクチン接種が本格化し、通常診療を行いながら、毎日プラス30名の予防注射。

高齢者接種を7月中に終わらせるように・・・と、後出しじゃんけんのような通達もきて、日曜日を接種日に当てたり、自治体の集団接種や福祉施設に出向したりもする。

限られたマンパワーと限られた時間の中で、医療者がどんどん消耗し、疲弊していく。

スタッフの負担を軽くするために、私にできることはなく、それが心苦しくもある。

現在、私はフルタイムシフトではないけれど、なにか落ち着かなくて、勉学に集中できない。

本物の大学生なら、学業が本分と言い切れるが、働きながら、家庭を維持しながらだと、学業の優先順位が下がってくるのは仕方ない。(・・・よね?)

で、もう、今期は無理。潔く留年しよう・・・と思っていた。

ところが、単位認定試験(期末試験)を10日後に控えた頃、突如、気が変わる。

やり始めたことを途中で投げ出す気持ちの悪さ。

1科目だけでも、試験を受けよう!

そこで、発達心理学概論の残りの授業を、遅ればせながら視聴している。

テーマは、子どもの発達から始まって、青年期、成人期、老年期の発達心理に移行するのだが、これが俄然面白くなってきた。

乳幼児や児童よりも、大人の発達心理のほうに興味があるんだな、私は。

自分や我が子や親や周囲の知り合いの生き方に当てはめると、発達過程に見事に符号することがいっぱい。

人生を自分で切り開いているような気になっていたが、みんな、ヒトの発達過程をなぞっているんだなぁ・・・。

研究って、学問って、すごいな・・・と改めて思う。

放送大学

その中で、出てきたSOCモデル。

年齢を重ねると、体力や気力が衰えてきて、若い頃と同じことができずらくなる。

気力や体力など限られた資源は、有効に使わなければならない。

そこで適応戦略を練るのだが、ドイツの心理学者、バルテスは、老年期の適応戦略を、3つに分類した。

①Selection (選択)

②Optimization (最適化)

③Compensation (補償)

頭文字をとって、SOCモデルと呼ぶ。

Sの選択は、できることとできないことを認め、今持てる資源をどこに振り分けるか、選ぶこと。

Oの最適化は、Sで選んだ目標に対して、資源配分の調整を行い、努力を継続すること。

つまり目標達成の手段。

Cの補償は、今までのやり方でうまくいかなかった時に、新しいやり方を工夫すること。

失われた体力や気力を、SOCでカバーするのだ。

SOCは認知能力の維持だけでなく、人生をよりよく生きるためのサクセスフル・エイジングの戦略としても有効だとの研究結果もある。

年をとることは衰えること・・・ではなく、熟達して、工夫を重ねる智慧を得ること。

受け入れられなかったことを、受け入れられるようになること。

許せなかったことを、まあ、いいか・・・と流せるようになること。

 

実生活が忙しくて、若いときほど頑張れない私が、SOCを使って、試験を受けることにエネルギーを使う選択をし、出勤前の脳が一番働く時間を勉強に当て、一度は諦めた単位修得に再びチャレンジ。

おお、なるほど、今、やっていることが、学問で説明できる!

 

これまで私が暗中模索で学んできたことが、学問の中では、すでに研究されていて、体系化・言語化されている。

これもこういった研究に人生を捧げてきた、数え切れない先人たちのおかげ。

その叡智の集大成に、こんなに簡単にアクセスできるなんて!

今更ながら、ネット環境と放送大学というシステムにありがとう。

(試験まであと2日!)

この記事を書いた人

Chikako

Chikako

金沢市在住。バラとコーヒーとコーギーが好き。
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