親の家を片づける

片づけを始めるのは、1才でも若い方がいい・・・と思う。

ここで言う片づけは、日々の現状復帰ではなく、これまでに溜まった人生の垢的諸々を捨てるアレ、つまり断捨離ね。

なぜ早いほうがいいのか?

それは、年を取れば取るほど、できなくなるから。

年齢的には終活が気になりだし、片づけなくちゃ・・・と焦りが生まれる。

だけど、片づけを舐めてはいけない。

そんなに簡単なことではないのだ。

溜まりに溜まったモノが発するすさまじい負のエネルギーに圧倒されて、モチベーションも気力もあっという間にしゅるしゅるとしぼんでしまうから。

年齢を重ねると、重い物は持てなくなるし、腰や膝が痛くてかがめず、すぐ気が散って、おまけに疲れやすくなる。

つまりやろうと思っても、体や心がついてこないのだ。

取りかかっては、ため息ついて諦めて、明日にしよう・・・を繰り返す。

でもこの先延ばしがクセモノで、”結局やらない””自分の後始末を子や孫に押しつける”ことになりかねない。

そんなの嫌じゃない?

自分の残した山のような荷物を、誰かに・・・、こともあろうに大事な家族に片づけてもらうなんて。

家族にこそ、見られたくないモノも少なからずあるだろうし。

だからね、終活のための片づけをする気があるのであれば、1日でも早く取りかかることをお奨めしたい。

 

以前、断捨離のお仕事をしている時に聞いた話。

ある女性の母親が亡くなった。

実家を片づけようと家の中に入ったら、タンス一棹分の荷物が残されていた。

たったこれだけ?・・・とびっくりする女性。

お母さんは死期が近いことを知っていたのか、その日が来る前に、自分で身の回りを片づけたのだ。

自分の人生(生活)の後始末は自分でつける・・・、まさに立つ鳥跡を濁さず。

葬儀、相続、各種手続きでただでさえ忙しい家族の肩に、片づけの負担まで背負わせない心遣いが、そこにあった。

お母さんの深い愛を感じました・・・と女性は語った。

 

よく『私の目の黒いうちは、何も捨てないで!』と抵抗する人はいるが、それがどれだけの負担を子孫に与えるか、ちょっと考えてみてほしいな。

私は夫の実家を片づけさせてもらったが、毎週日曜日、1時間ほどの断捨離作業からの、ゴミ処分場への自己搬入を繰り返した。

冬場は雪が深いので作業は休止したが、家を売れる状態にするまで、なんと3年かかったよ。😅

一緒に作業にあたった夫は、1週間に1日しかない休日を3年間、片づけに捧げたことになる。

夫の実家は60年経った田舎の家で(部屋数が多い)、先々代からの荷物が後生大事に全部残してあり、特殊なケースかもしれないが、かなりの重労働であったことは否めない。

片づけを仕事にしていた私でさえこうなのだから、そうでない人にとってどれだけ大変なことかは、推して知るべし。

でもそんなことには思い至らず、すでに年齢を重ねちゃって、片づける体力も気力も失ってしまった人の場合、もう誰かにお願いするしかないだろう。

でもせめて、アレはダメ、コレは捨てないで・・・と抵抗するのはやめ、自分の身仕舞いなのだと腹をくくって、協力してね。

処分する判断を下してくれるだけでも、作業はグンと楽になるから。

 

人生のゴールが迫っているのであればなおのこと、それまでの貴重な時間、モノの重圧から解放され、心豊かに過ごしてほしいと思う。

 

・・・というわけで、ワタクシの実家も、秋の断捨離祭りに突入です。

この記事を書いた人

Chikako

金沢市在住。バラとコーヒーとコーギーが好き。
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