5月3日、きれいに晴れあがった。
昨日までの冬逆行みたいな寒さも緩んだようだ。
早朝、加賀へ向けて車を走らせる私は、空と同じくらい清々しい気持ちに満ちていた。
これから始まることに、ワクワクを抑えきれない。
目的地は加賀市のシェアキッチン木楽屋さん。
今日はこのキッチンを借りて、待ちに待ったお料理ライブが開催される。
キッチンに入ると、調理台の上は、すでに食材が山盛り。
近隣の農家さんが育てた野菜やオーガニックのパスタや穀類や調味料。
その前で、う~~~んと頭をひねっていたのが、本道佳子さん。
国境なき料理団を率いる、新進気鋭のビーガン料理のシェフだ。
ビーガンとは、肉も魚も動物性食材を使わないお料理のこと。
いつもそうなんだけど、本道シェフは、事前にメニューを考案しない。
料理を作る直前に、食材を見ながら、その日、その時に一番ぴったりくるメニューを決める。
普通、お客様がくる時は、何日も前からメニューを考えて準備すると思うのだけれど、本道シェフはいつもこう。
目があった野菜…、その日、シェフに「私を使って~~、いい仕事するよ!」と呼びかけてきた食材を使うんだって。
だからカレーを作ろうと思ったとしても、マスタードと目があっちゃったら、マスタードを使って野菜炒めを作る。
だって、呼ばれちゃったんだから、しょうがないですよ…と、ケラケラ笑っている。
これは、あれかな、私がホームセンターで、「私を連れて帰って」とバラに呼び止められるのと、同じ感覚かな。
ともかく本日のメニューが決まった。
お客様がいらっしゃる1時間半前だ。
そこから食材を洗って、切って、水で戻して、練って、蒸して…の下ごしらえ。
そこへ1時間も早く到着しちゃったお客様が。
なんと手にエプロン持っている。
え?…と思ったら、駐車場で本道シェフにスカウトされたらしい。
お客様も交えて、再び洗う、切る、戻す、練る、蒸す…。
でもお客様は、このにわかアシスタントをことのほか楽しんでいらした模様。
洗う係のお客様。
切る係のお客様。
お二人とも、ありがとうございました。
木楽屋さんの玄関には、きれいな寄せ植えがたくさん飾られて、文字通り花を添えていた。
だけど向かいの林で、鶯が鳴いている…なんて、悠長に構えている余裕はない。
お客様が到着して、いよいよお料理ライブwith本道佳子のスタートだ。
ライブなので、本道シェフがお客様の目の前で、実際に料理をする。
本日のメニューは、トマトソースのパスタ、サトイモのハンバーグ、玉ねぎと紫芋のロースト、べか菜の蒸し物、豆乳マヨネーズなど。
手早い!とにかく手早い。
そしてレシピがない。
材料を計らない。
頼るのは、自分の感性と味覚のみ。
マヨネーズがうまく固まらなければ、臨機応変にピンクのドレッシングにしちゃう。
料理ってもっともっとクリエイティブでもいいんだ…と、みんなが思う。
そういえば、調理にも内在智を使うのよ…と教えてくれた友人がいたなぁ。
自由度120%のライブだった。
サトイモのハンバーグに火が入った。
ジュワジュワとおいしそうな音がする。
↑午前の部ののサトイモのハンバーグが、午後の部ではこう変わる↓。
材料はほぼ同じだというのに、同じハンバーグには見えない。
近隣農家から仕入れてきたべか菜の蒸し物。
シンプルだけど、味が深い。
加賀レンコンの和え物。
レンコンはじっくり低温から揚げて、ひじきとくるみとオリーブで和えてある。
チビたまねぎとさつまいものロースト。
美しいピンクは、ビーツのドレッシング。
オーガニックパスタのトマトソース。
トマトソースの主な材料は、ニンジンとハト麦。
細長い緑色は、大根の実。本道シェフはこれを”魂”と呼ぶ。
これはイタリアで見つけたというナツメグ。
パウダーを見たことはあるけれど、本体は初めて。ものすごく香りが強い。
付属の小さなおろし金で削って使う。(シルバニアみたいで可愛い)
洗い物をしながらふと窓の外に目をやると…。
え?なにこれ?
わ~~~~、愛あるお料理に祝福の光が降り注ぐ…。
私たちのまかない。
まかないですら、なにか神々しい。
身体に心にきゅんきゅんきゅーーんとしみていく。
愛をこめて作った料理は、食べた人の心を満たす。
こんな大切なこと、私たち、忘れていないかい?
お客様からコメントをいただいた。
『愛ある料理の本道さんのライブキッチン。
し💛あ💛わ💛せ~~(#^^#)
美味しいだけじゃなく、愛が体中に染みたよ。
愛をこめて美味しい野菜を作りたい!
それを美味しくいただけるように、本道さんのように愛をこめて料理できたら、嬉しいなぁ。
ごちそうさまでした。ご縁をありがとうございます。💛』
さあ、明日はフルコースランチ!