あれは5月半ばの午後だった。
朝からの雨は昼過ぎに止んだが、空はどんより曇り空。
「バラ園に行ってみようか」
出先からの帰り道、夫が唐突に言いだした。
5月はバラの季節。
富樫運動公園のバラはさぞかし美しいことだろう。
もちろん花期の間に行くつもりだった。
写真も撮りたいと思っていた。
だけど、この天気じゃ・・・。しかもα5100、今持ってないし。
太陽光の下で光り輝くバラを撮る。
それが毎年の習慣だった。
曇り空では、キラキラしたバラたちは拝めないなぁ・・・と渋ったのだけれど、あまり休みも取れないので行ってみることにした。
時々ポツリと雨粒が落ちてくる。
足元も濡れて滑りやすい。
人影はまばら。
湿った空気の中で、濃厚なバラの香りがむせかえる。
そして気がついた。
曇天の光加減は、バラの違った表情を引き出すことを。
雨のしずくをたたえたビロードのような花びらの、なんという美しさ。
ちょうどしずくの写真に凝っていた時でもあり、バラの内部をのぞき込むようにして、何枚も撮った。
そしてその中の1枚を、金沢市スポーツ事業団が主催するデジタルフォトコンテストに応募した。
スマホ写真でもOKというのが、応募のハードルが低くてよかった。
応募作品は、バラの部、チューリップの部、桜の部、それぞれ10点ずつに絞られて、市内のスポーツ施設に張り出され、来場者の投票で入賞が決まる。
まずはベスト10に選ばれているといいな。
鳴和台市民体育館に、見に行ったら・・・。
あったよ!私の撮った紫のバラ。
鳴和の温水プールは、昔、子どもたちとよく来た場所。
今もあの頃のままで、とても懐かしい。
そして7月上旬、投票の結果が発表された。
あわあわあわ・・・。(゚_゚)(゚_゚)(゚_゚)
びっくりした。
でもすごく嬉しかった。
だってシャルル・ド・ゴールの薄紫と雫がすごく綺麗に撮れたと思っていたから。
私が美しいと思った1枚を、他の人も美しいと感じてくれたことが嬉しかった。
ほどなくして、賞状とA4サイズにプリントした写真が送られてきた。
これも嬉しい。額装して飾ろうっと。
そして10月初旬、賞品が届いた。
とやまのチューリップの球根。
花の写真コンテストの賞品には、ぴったりの品。
6種類30球。
どこに植えようかな。
来年の春の楽しみがまたひとつ増えた。
咲いたら、もちろん写真撮るよ。😊