跡を濁して飛び立った鳥がスイッチを入れていった

普通さ、引っ越しで出たゴミって、引っ越し先で処分しない?

 

先週末、私が留守にしている間に、息子は引っ越しをした。

この春、晴れて大学を卒業し、いよいよ入職の運びとなり、職場の近くに部屋を借りたのだ。

引っ越し先は同じ市内。

しかも2年後にまた移動の可能性が高いので、大きな家具や家電はサブスク。

引っ越しの規模としてはとても簡単な部類に入る。

それでもやはり手伝ってあげたい想いはあり、新しい部屋へ持っていく衣類などは、きれいに洗って箱詰めし、洗剤やソープや布巾などの生活必需品も多少買い揃え、仕事の合間にちまちまと準備をした。

…で、後は本人に任せて、私は岐阜に行った訳だが、3日後に帰ってみると、このとおり。

引っ越し

 

和室に空き箱が積み上げられていた😅

息子は荷物を運び込んだ後、空き箱とゴミをわざわざ持って帰ってきたのだ。

なぜにーーー?

箱をつぶして、まとめて、マンション前のゴミ捨て場に捨てるよりは、実家にそのまま返した方がラクだってかーーー?

唖然。

 

でも彼は、ブラインド式のカーテンを自分で取り付け、四苦八苦しながら棚を組み立て、家電量販店でコーヒーメーカーを購入し、足りない生活必需品を買いに行き…と、新生活の準備を頑張っていた。

そして帰宅したばかりの私を、部屋を見に来ないか?と誘った。

私は4時間近く運転した後で、疲れてはいたのだけれど、普段、自分の領域に親を極力立ち入らせない息子がそんなことを言うとは…、よほど嬉しいんだなと、夫婦で部屋を見に行った。

細長い黒い棚に、ちょこんとコーヒーメーカーが乗っていた。

ベッドにはブルーのカバーがかかっていた。

衣類がハンガーにきれいに掛けてあった。

洗濯機には、マグネット式のタオル干しが取り付けてあった。

トイレには、消臭剤まで!(実家にはない)

 

なんだか微笑ましくて、嬉しくなってしまった。

 

普段家のことには無頓着なのに、自分の新しい城を、あれこれ考えて一生懸命調えたんだね。

これからの彼の仕事や生活に想いを馳せ、温かい気持ちになった。

若い人には未来がいっぱいに開けているね。

明日を夢見る余白がたくさんあるね。

のびしろもまだまだ残っているね。

 

しっかりね。…口に出すと嫌がるので、心の中で盛大なエールを送った。

 

そして、空き箱が散乱した我が家の和室。

立つ鳥跡を濁すな…と散々言ってきたが、よし、これは私が引き受けよう。

潰して、まとめて、処分するだけ。

たいしたことではない。

だけどついでに和室全体の断捨離総ざらえもやろうかな。

息子のゴミのおかげで、スイッチが入っちゃったみたいだ。

春

春らんまん…、いい季節がやってきた。

 

進学や就職で旅立つ君へ 跡を濁さない鳥になろうね

この記事を書いた人

Chikako

金沢市在住。バラとコーヒーとコーギーが好き。
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