朝からめちゃめちゃ風が強い土曜日。
春一番…ではないだろうなぁ。
北陸新幹線も一部運休するほどの強風の中、加賀市を目指す。
私の青空号も横風でぐいぐい押されたけれど、絶対、行かなきゃ。
だってシェアキッチン・木楽屋さんで、船戸博子先生の出張漢方養生講座があるから。
船戸博子先生の春の養生講座
私のブログに度々登場する船戸博子先生は、岐阜県養老にある船戸クリニックの漢方医。
漢方の診察や治療だけでなく、食養生にも造詣が深く、自身が経営するカフェで薬膳のお食事を提供している。
そしてなかなか養老まで行けない人のために、出張講座もしてくれる。
しかも薬膳のお弁当付きで!
本日の講座は【春の漢方養生】。
【冬の漢方養生】では、冬はゆっくり温めて貯める季節だから、ダイエットなんかしないで、コロコロになりましょーーーと、教わった。
では、春はどうすればいいのかしら。
春という季節
春は芽吹きの季節。生命力にあふれた陽の気が満ちる。
草花は芽を出し、上へ上へと伸びていく。
自然の一部である私たち人間も、一緒に上へ上へと伸びたくなる。
だから春はのびやかに暮らす。
ストレスをためずに、緑の中で深呼吸するように暮らす。
でも自然の理として上へあがりたいのに、なんらかの原因で上がれない時は、上半身、特にデコルテから上に不調をきたしやすい。
具体的には、目が疲れ、瞼が重く、頭がぼうっとし、皮膚が荒れ、鼻水が出て、喉がいがらっぽくなったり…、そんな症状ない?
感情的には、怒りっぽくなるそうだ。
春はまた、肝の季節でもある。
肝には、気・血・水の流れをよくする働きがある。
その肝が弱ると、不眠、イライラ、生理不順、むくみ、消化不良など、ありがたくない症状が出やすいとのこと。
そして肝と密接なかかわりがある胆のうの働きにも作用して、決断力を鈍らせる。
春に食べたいもの
春は解毒が肝心。
入れるより出す季節だが、そのために役立つ食材は、酸っぱいものや苦いもの。
シソの葉、ミント、ふきのとう、たけのこ、うど、春菊、セロリ、にらなど。
あら、私の好きなものばかり。♡
お弁当
お待ちかねの薬膳弁当。
丸いお弁当箱に、ぐるりとローズマリーの縁取り。フレッシュハーブなので、すごくいい香り。
蓋を開けると、わあっと歓声があがる。
五行陰陽の木・火・金・水・土が、そのままお弁当になっている。
まず真ん中のご飯は、ピンクと白の太陰太極図。
白は白米と発芽玄米と白大豆とクコの新芽。
ピンクは紅麹と白米と黒大豆。
木は野萱草と金針菜とほたての中華炒め(緑)、火は鳥ミンチとクコの湯葉巻と人参とナツメのナムル(赤)、金はタンポポの卵焼きと菜の花の和え物(黄)、水はのびると桜エビのかき揚げとタラの芽の天ぷら(白)、土はワカサギの黒ごま焼きとどんこしいたけとつくしの佃煮(黒)。
五行陰陽のことはよく知らないけれど、この五色をバランス良く取り入れることが、大切らしいよ。
クコは肝と腎に効き、タンポポの葉は浄血作用があり、のびるは腎によい。
しいたけには抗がん作用があり腸内細菌を増やす。
使われている食材ひとつひとつに意味がある。
参加者のお一人が、「薬膳というと、あまり美味しくないとか、茶色一色とかそんなイメージがあったけれど、なんて色とりどりで美味しいのかしら…」と感想を述べていた。
同感!どんなに身体によくても、美味しくなければ、食べたいと思えない。
食養生は、続けてこそ意味がある。
美味しいは、なによりのモチベーション💕
講座の間に、キッチンではスープとデザートの準備が進んでいた。
スープは船戸クリニックの水辺に自生するクレソン。
浮いているのは、なんとネモフィラの花びら。
ネモフィラって、これよね?食べられるんだ。
春の香りがたまらない。
デザートは、小豆の豆乳寒天、ヨモギ白玉添え。
お腹いっぱい、心もいっぱい。
(シェフのQ&A)
魂は丸い球のようなもの
今回の講座は、Emi’sカフェのえみさんが主催している終活講座の一環。
終活…とは死ぬ準備ではなく、時間に限りがあることを知り、その大切な時間、いかにしあわせに過ごすかということ。
2000年の歴史を誇る漢方の世界には、『陰陽に則って生きていけば、100歳にして去る』という言葉があるそうだ。
100歳にして死ぬではなく、去るとはどういう意味だろうか。
人は体がなくなると、その存在自体が無に帰すわけではない。
肉体はなくなっても、魂はまた新しい体に戻ってくる。
いわゆる輪廻転生の考え方だ。
魂は元々まあるい球のようなもの。
でもいろいろあって、傷ついたり、凹んだり、ゆがんだりする。
それをできるだけ丸くして、次の体に渡すのが、漢方医の使命だと博子先生は説く。
ゆがみや凹みがない状態で転生できれば、次の命は安心して生を謳歌できる。
だけど大きく傷ついたり、裂けたままで次の体へいけば、その痛みや苦しみを次の生まで持ち越してしまう。
だから戦争で亡くなる…なんてのは、最もいけないことなのだ。
胸に刺さるな…、その言葉。
食後のお喋りで、目に見えない魂はどんな形状か…という話題になった。
白玉団子のようにプニプニしたもの、透明のガラス球に金粉が入っている感じ、風のようなもの、柔らかな発光体…、人それぞれのイメージが面白いなぁ。
でも今与えられた身体と心と魂を、できるだけまん丸に近づけていくのが、終活の目標であるようにも思う。
講座を終えて、博子先生ご一行は風のように去って行った。
秋にまた来るよ~~と嬉しい約束を残して。