ピアノの断捨離をめぐって⑦

ピアノを手放すにあたって、ピアノとの関わりを振り返っています。

ピアノの断捨離をめぐって①

ピアノの断捨離をめぐって②

ピアノの断捨離をめぐって③

ピアノの断捨離をめぐって④

ピアノの断捨離をめぐって⑤

ピアノの断捨離をめぐって⑥

さてさてさて、ピアノは今の私にとって、もう”要”ではないと自覚したものの、手放せない・・・という想いは、しぶとく居座ります。

実はこの【手放せない】がくせ者でして。

手放せないのではないのです。

だって処分するだけの話ですから。

手放せないのではなく、手放したくないというのが本当のところ。

これはピアノに限らず、服でも、バッグでも、食器でも、本でも、子どもの作品でも、同じこと。

本当は捨てたくないから、【捨てられない】とさも処分する能力がないかのように言うのです。

向き合うべきは、どうして捨てたくないのか、そこですね。

私の場合は執着ですが、もうひとつは、大きすぎて処分の手間がかかるというもの。

自分では運び出すことさえ、できません。

ピアノ売ってちょ~~うだい♪・・・とさも簡単そうに呼びかけてきますが、本当に電話一本なの?

そうやってグズグズグズグズ引き延ばしてきましたが、2020年、私は様々なトラブルに見舞われます。

自分で解決できないことや、自分の手に余ること、さらには私は関係ないのに巻き込まれちゃったことなど、ストレスフルな日々に気が休まる暇がありません。

夜は眠れず、食欲も落ち、いつも胃が痛くて、5キロ痩せました。

・・・あかんなぁ。

そんな時、昔の同志に会う機会がありました。

「どっか詰まってるんじゃない?」

その一言で心が決まりました。

詰まっているとしたら、アレしかない・・・って、もう分かっていましたから。

部分即全体。全ては相似形。

家の中の詰まりが、しいては人生の詰まりとなる。

ピアノを断捨離したところで、現実がどうなるかなんて、誰にも分かりません。

でも他にできることがないのであれば・・・。

現役時代に、なんで決心できなかったんだろう、アタシ。

 

それからはスピーディでした。

その日のうちにネット検索して、5社に査定を依頼。

状態はいいとは言え、50年以上経ったピアノなので、999円という査定もありました。

どこに引き取られても、ピアノの行き先はほぼ同じで、再調整されて、寄付されるか、途上国へ向かうか。

27000円という値をつけてくれた業者さんに、お願いすることにしました。

ネットで依頼すると、すぐ電話がかかってきて、引き取りの日時を相談。

お隣福井県の運送会社が、取りに来てくれることになりました。

当日。

心を込めてピアノを磨きました。

縁は薄れたとはいえ、このピアノが私を支えてくれていた日々は確かにあったのです。

ありがとうね。

ありがとうね。

ありがとうね。

ピアノの断捨離

運送会社の方が2名やってきて、まず外せる部品を外しました。

外側は傷もあって、足部分の塗装も剥がれているけれど、内部はとてもきれいな状態。

ピアノの断捨離

たくさん弾いたのに、ハンマーもへたっていません。

ピアノの断捨離

肩に帯をかけて、ピアノを運び出します。

重いだろうなぁ。腰にかかる負担は相当なものだと思います。

ピアノの断捨離

ああ、行ってしまう・・・。

運送会社の人が到着してから、トラックが去るまで、15分くらいだったでしょうか。

あまりにもあっけなく、ピアノは旅立っていきました。

 

残された私が何を感じていたかというと・・・、意外にも全然平気でした。

もう関係性が終わったことをしっかり自覚し、手放す覚悟ができた時点で、ピアノはただのモノになりました。

大きさやサイズは違えど、片っぽになった靴下や賞味期限の切れた豆腐と同じです。

もっと喪失感があるのかなと思っていたので、ちょっと拍子抜けしました。

ずっとずっとずっと、ピアノだけは手放せない・・・と頑なに思い続けてきたのは、なぜだったのか。

今となっては、不思議です。

前職を辞めた時にも思いました。

この世の中に、手放せないモノなどないのだと・・・。

ピアノがなくなって、ぽっかり空いた空間。

その空間が愛おしい。

ずっとピアノの下になっていた床に、25年ぶりに陽が当たりました。

ピアノが出て行ったからといって、私の現実ががらりと変わるわけではありません。

でも確かに何かが動きました。

見えない何かが、ゴロリと音を立てて動きました。

 

この話を聞いた友人は、「また弾きたくなったら、その時、新しいピアノを迎えればいい」と言いました。

その通りだね。

手放してみて、初めて分かることもあるでしょう。

ゴロリと動いた何かは、動き続けるのか、そのまま止まるのか、・・・そんなこと分かりません。

分かる必要もないのです。

でも私は今、悲しくないし、むしろ晴々とすらしています。

ピアノの断捨離

ピアノの断捨離は、秘密裏に進めました。

帰宅した夫は、がらんとした空間を見て、目をぱちくり。

私が「断捨離するする」と言いながら、結局できないと思っていたようで、「見直したよ」だって。(^_^)v

するする詐欺師の汚名は、めでたく返上です。

 

ピアノの断捨離シリーズ、終わります。

長々と読んでくださって、ありがとうございます。

この記事を書いた人

Chikako

Chikako

金沢市在住。バラとコーヒーとコーギーが好き。
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